1-D-02-3.ラット下顎頭軟骨最表層部における急速凍結技法と免疫染色法による機能形態学的検討

【目的】下顎頭軟骨最表層部の形態は, 顎関節に特有である下顎頭の回転および滑走運動機能が円滑に行われるために重要だと考えられている. しかし軟骨最表層部の微細構造は, 試料作製過程における固定, 脱水などの処理で修飾を受けやすく, 生体内における機能形態学的特徴を明らかにすることはこれまで困難であった. 今回試料作製過程において, 急速凍結技法を用いて軟骨最表層部の形態保持と関節液保存を考慮した上で, 透過型走査型電子顕微鏡で観察を行った. さらに光学顕微鏡でも免疫染色法を用いて, 微細構造の形態学的特徴を検討した. 【方法】ネンブタール麻酔下にWistar系雄ラットの関節円板を付けたままで,...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.392-393
Hauptverfasser: 吉田雅之, Zagreb Zea, 大月佳代子, 大西正俊, 大野伸一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】下顎頭軟骨最表層部の形態は, 顎関節に特有である下顎頭の回転および滑走運動機能が円滑に行われるために重要だと考えられている. しかし軟骨最表層部の微細構造は, 試料作製過程における固定, 脱水などの処理で修飾を受けやすく, 生体内における機能形態学的特徴を明らかにすることはこれまで困難であった. 今回試料作製過程において, 急速凍結技法を用いて軟骨最表層部の形態保持と関節液保存を考慮した上で, 透過型走査型電子顕微鏡で観察を行った. さらに光学顕微鏡でも免疫染色法を用いて, 微細構造の形態学的特徴を検討した. 【方法】ネンブタール麻酔下にWistar系雄ラットの関節円板を付けたままで, 下関節腔を開放しないまま下顎頭を摘出した. 摘出した試料は下顎頭表面をメス刃を用いて注意深く露出させると同時に, イソペンタンプロパン混合液(-193℃)で急速凍結することで, 軟骨最表層部形態を可及的に保存し, 液体窒素中で凍結割断を行い, その後ディープエッチングを施してレプリカ膜を作製し, 電顕で観察した. また同様に摘出した試料を2%パラフォルムアルデヒドで固定し, クライオスタット切片を作製後, 抗ファイブロネクチン抗体免疫染色とビオチン標識ヒアルロン酸結合蛋白を用いて光顕試料を作製し, 一部にはヒアルロニダーゼ, およびコンドロイチナーゼを用いた酵素処理を施し, 観察を行った. 【結果および結論】軟骨最表層部の形態保持と関節液保存を考慮した検討で, ラット下顎頭軟骨最表層部には細線維による網目状構造と, 脂質と考えられる微細穎粒状物質が観察され, さらに光顕免疫染色においてもファイブロネクチンおよびヒアルロン酸の陽性反応を同部位に認めた. 以上より急速凍結技法と免疫染色法を用いることで, 生体内における下顎頭軟骨最表層部の微細構造と, その円滑な運動機能形態としての関連性が示唆された.
ISSN:0029-0297