1-D-06-3.外傷性上顎全欠損の再建後にZygomaticus Fixtureを使用した1例
近年, 高度に萎縮した上顎骨に対して, 頬骨インプラントが臨床応用されるようになってきた. 今回われわれは外傷性上顎全欠損の再建後に咬合の回復および移植骨の固定の目的で頬骨インプラントを使用し良好な結果を得たのでその概要を報告した. 患者は23歳男性で交通外傷にて上顎骨が全壊死に陥り, 同部に対して血管柄付き腸骨移植および前腕皮弁による上顎再建を行った. その後咬合回復に対して義歯装着が困難なためインプラント治療を計画したが, 移植骨のみのインプラント補綴では不安定と思われたため, 移植骨の強固な固定も兼ねて頬骨インプラントを応用することとした. まずデンタスキャンX線ならびに3次元実体モデル...
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Veröffentlicht in: | 日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.385-386 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 近年, 高度に萎縮した上顎骨に対して, 頬骨インプラントが臨床応用されるようになってきた. 今回われわれは外傷性上顎全欠損の再建後に咬合の回復および移植骨の固定の目的で頬骨インプラントを使用し良好な結果を得たのでその概要を報告した. 患者は23歳男性で交通外傷にて上顎骨が全壊死に陥り, 同部に対して血管柄付き腸骨移植および前腕皮弁による上顎再建を行った. その後咬合回復に対して義歯装着が困難なためインプラント治療を計画したが, 移植骨のみのインプラント補綴では不安定と思われたため, 移植骨の強固な固定も兼ねて頬骨インプラントを応用することとした. まずデンタスキャンX線ならびに3次元実体モデルを作成し, Fixtureの選択, 埋入部位や方向を診断した. 結果としてZygomaticus Fixtureは右側には移植骨から頬骨部および眼窩下縁部にそれぞれ1本ずつ, また左側には頬骨部に2本埋入した. その際, 下眼瞼結膜を切開し眼球を保護しながらFixture埋入を行った. 前方部においては, 通常のFixtureを3本埋入した. ただ移植骨の固定を優先したため歯列弓に沿った埋入が不可能であった. 2次手術時, 前方部のFixtureの1本は生着していなかったが, Zygomaticus Fixtureは4本とも生着していた. 結果として補綴物はオーバーデンチャーとなったが前腕皮弁の被圧変位量が大きいため粘膜面の調整が難しかった. 現在, 咬合の回復も得られ経過良好であるので, 上顎欠損部への移植骨の固定ならびに補綴治療においてZygomaticus Fixtureの使用は有用と思われた. 質問 宮崎医大 芝良祐 義歯の支台となるインプラントはすべて移植皮弁あるいは頬粘膜を移植した部分に埋入されていますが, Fixtureへの感染その他の予後についてはどのように考えますか. 回答 帝京大医歯口外 下尾嘉昭 インプラント埋入予定部位の前腕皮弁部皮膚を粘膜に置き換えて対応しました. しかし, 皮弁の厚みがあるためかなり長いアバットメントが必要で若干清掃性が悪くなった. 質問 日本歯大新潟歯口外2 又賀泉 血管柄付き腸骨で直線上に再建されていましたが, 骨切りを加えて上顎前歯部を突出させますと, 骨性再建により鼻翼起部の陥凹も改善され, 中顔面の形態が改善され患者さんの満足も得られると思います. 上顎を骨を付けて再建する必要があることは同感です. 回答 都立大塚病院口腔科 田中潤一 上顎骨の再建については当院形成外科とともに, 咽頭弁移植術後に行った. まず頬粘膜を翻転し, 鼻腔底形成を行い, ついで硬口蓋部は骨で再建するべく, また口腔側を前腕皮弁でカバーするべく, 前腕皮弁の先端に腸骨回施動静脈を吻合したdouble free flapを行った. |
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ISSN: | 0029-0297 |