1-D-06-1.血管柄付き遊離腓骨移植による小児下顎骨再建の1例

小児の下顎骨再建は, 下顎骨の成長を考慮しなければならないため, その方法の選択は難しい問題である. われわれは幼児黒色神経外胚葉性腫瘍切除とプレートによる再建術を行い, その後再建用プレート破折を繰り返したために, 今回血管柄付き遊離腓骨移植による下顎骨再建を行った症例を経験し, 比較的良好な結果を得ているのでその概要を報告した. 患者:4歳, 男児. 現病歴1997年8月生後2か月時に当科を初診, 幼児黒色神経外胚葉性腫瘍の診断にて腫瘍摘出術を施行したが, 腫瘍再発のため同年10月, 右側筋突起を含む下顎枝から左側下顎乳犬歯相当部まで下顎骨区域切除術, チタンプレートによる再建術を行った....

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.384-385
Hauptverfasser: 高井貞浩, 小林正治, 芳澤享子, 加藤健介, 小野由起子, 新垣晋, 齊藤力
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:小児の下顎骨再建は, 下顎骨の成長を考慮しなければならないため, その方法の選択は難しい問題である. われわれは幼児黒色神経外胚葉性腫瘍切除とプレートによる再建術を行い, その後再建用プレート破折を繰り返したために, 今回血管柄付き遊離腓骨移植による下顎骨再建を行った症例を経験し, 比較的良好な結果を得ているのでその概要を報告した. 患者:4歳, 男児. 現病歴1997年8月生後2か月時に当科を初診, 幼児黒色神経外胚葉性腫瘍の診断にて腫瘍摘出術を施行したが, 腫瘍再発のため同年10月, 右側筋突起を含む下顎枝から左側下顎乳犬歯相当部まで下顎骨区域切除術, チタンプレートによる再建術を行った. しかし, その翌年よりプレートの破折, 交換を繰り返したため, 1999年9月に下顎骨欠損の範囲縮小を目的にトランスポート法により三次元的に左側残存骨の骨延長を図ったが, 想定した方向に動かせなかったためそのまま経過観察を行っていた. その後家族が早期の下顎骨再建を強く望むようになったため, 本学医学部形成外科の協力のもとに2002年6月12日に血管柄付き遊離腓骨移植による下顎骨再建術を施行した. 頸椎損傷用ギプスであるハロリングとハロベストを装着し, 術後3日間静脈内鎮静法を併用して全身と頭頸部の安静を図り, 中心静脈栄養にて栄養管理を行った. 術後3日目より経口摂食開始, 5日目で車イスでの移動, 1週間目には歩行を開始した. 術後4日目にドップラー血流計にて吻合した血管の血流が確認され, 2週間目にはハロリング, ハロベストを除去した. 術後10か月時に骨成長を促すためにプレート除去術を行ったが腓骨と下顎骨との骨癒合は良好であった. 術後11か月の現在, 下顎骨の幅および長さの増加も認められ, また腓骨採取部の合併症は認められず経過は良好である. 質問 山形大 濱本宜興 患側の顎関節の成長は, 健側のそれと比較していかがでしょうか. 回答 新潟大大学院組織再建口外 高井貞浩 正確にX線規格写真にて計測はまだしておりませんが, 御指摘のように成長していると思われますので, 今後検討します. 質問 氏名不詳 腓骨採取後の処理についてどうしていますか. 回答 新潟大大学院組織再建口外 高井貞浩 術後の下肢に関する合併症や成長を考慮し, 反対側の腓骨を採取部位に移植するなどの方法も検討しましたが, 最終的には, 成人の場合と同様の方法を行いました.
ISSN:0029-0297