2-F-03-1.睡眠時無呼吸低呼吸症候群に対し,下顎骨前方移動術およびオトガイ前方移動術を行い効果不十分であった1例

【症例】患者は33歳男性で, BMIは21.2kg/m2であった. 睡眠中の無呼吸, 日中傾眠を主訴に平成11年4月8日当科紹介来科した. 既往歴としてはパニック障害, 鼻中隔弯曲症, 肥厚性鼻炎を認め, 家族歴としては父親, 兄に統合失調症を認めた. 終夜睡眠ポリグラフ検査(以下PSG)結果AHI:34.3回/時, 90%>SpO2:5%, RERA:23.5回/時, %stage3+4:20. 8%であり, 臨床診断名を閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(以下OSAHS)とした. 【処置および経過】平成11年8月24日より下顎骨前方移動術を施行目的に術前矯正治療を開始した. 手術までは経...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.377-377
Hauptverfasser: 田中勝幸, 千葉幸子, 杉崎正志, 高橋冬樹, 田辺晴康, 千葉伸太郎, 八木朝子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【症例】患者は33歳男性で, BMIは21.2kg/m2であった. 睡眠中の無呼吸, 日中傾眠を主訴に平成11年4月8日当科紹介来科した. 既往歴としてはパニック障害, 鼻中隔弯曲症, 肥厚性鼻炎を認め, 家族歴としては父親, 兄に統合失調症を認めた. 終夜睡眠ポリグラフ検査(以下PSG)結果AHI:34.3回/時, 90%>SpO2:5%, RERA:23.5回/時, %stage3+4:20. 8%であり, 臨床診断名を閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(以下OSAHS)とした. 【処置および経過】平成11年8月24日より下顎骨前方移動術を施行目的に術前矯正治療を開始した. 手術までは経鼻的持続陽圧換気療法を選択し, 使用開始した. 術前矯正終了後, 平成13年9月12日全身麻酔下にて下顎骨前方移動術およびオトガイ前方移動術を施行した. オトガイ部前方移動距離12mm, 下顎枝部前方移動距離5mm合計17mmの移動量とした. 術後約10日のセファロ分析の結果としては, 下顎骨の前方移動, 上気道の開大は得られたが, 舌骨の前方移動は得られなかった. 術後約9か月のセファロ分析の結果としては, SNB:73.5°, Facial-axis:78.5°, PAS:7.0mmと下顎骨の後戻りの傾向が示唆された. 術後約1年のPSGの結果としては, AH134.3回/時から19.0回/時とやや改善を認めたが, AH15回/時以下には至らず, 効果不十分であった. 【考察および結論】本邦においては, OSAHSに対する前述の手術報告例が未だ少なく, 今後, 手術適応の是非, 下顎骨の適切な移動距離等, さらなる研究が必要と考えられた. 質問 久留米大医歯科口腔医療センター 楠川仁悟 ゴム牽引中, 顎間固定中のPSGは行われましたでしょうか. 回答 慈恵医大歯科 田中勝幸 術後, 約1か月半時のPSG施行時にはゴム牽引を行ったが, 約9か月時のPSG施行の際, ゴム牽引は行っていない. しかし, ビデオ撮影にて閉口睡眠であったことは確認済である. 質問 鹿児島大大学院 伊藤学而 術前のシュミレーションで下顎骨の前方移動量を求めたにもかかわらず, 実際には下顎骨を僅かしか移動しなかったところに問題があると思うが如何か. 回答 慈恵医大歯科 田中勝幸 検査時は咬合は考慮せず前方移動を行い, 舌根部の閉塞が9mm移動時に解除されることを確認したが, 手術中は咬合を考慮に入れたため5mm前方移動が限界であった.
ISSN:0029-0297