1-C-02-5.当科における自己血輸血症例の検討-顎変形症(全上下顎移動術)について

近年, 顎変形症に対する顎矯正手術は, 口腔外科手術症例の中で, 最も重要な位置を占め, 矯正歯科医社会における認識の高揚もあり, その症例数も年々増加の傾向にある. これに伴い, 種々の手術器械器具の工夫や術式の改良などがなされ, 本手術も比較的安全に行われるようになってきた. しかし, 口内法で, かつ血管の豊富な上下顎骨領域に対して広範に骨を分割する必要のあるこれらの手術では, 突然の大量出血に対して輸血用血液を準備しておく必要がある. この場合, 一般に顎矯正手術の対象となる患者は, そのほとんどが, 将来性のある若者であることから, 同種血輸血による合併症, すなわちHIV, 肝炎ウ...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.376-377
Hauptverfasser: 高橋理恵子, 嶋田淳, 正田久直, 中丸行也, 相原悦二郎, 田島徹, 龍田恒康, 竹島浩, 山本美朗, 松井成幸, 鐘ケ江晴秀
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 顎変形症に対する顎矯正手術は, 口腔外科手術症例の中で, 最も重要な位置を占め, 矯正歯科医社会における認識の高揚もあり, その症例数も年々増加の傾向にある. これに伴い, 種々の手術器械器具の工夫や術式の改良などがなされ, 本手術も比較的安全に行われるようになってきた. しかし, 口内法で, かつ血管の豊富な上下顎骨領域に対して広範に骨を分割する必要のあるこれらの手術では, 突然の大量出血に対して輸血用血液を準備しておく必要がある. この場合, 一般に顎矯正手術の対象となる患者は, そのほとんどが, 将来性のある若者であることから, 同種血輸血による合併症, すなわちHIV, 肝炎ウイルスなどの感染, 輸血後移植片対宿主病(GVHD)などの副作用は極力回避しなければならない. この点について, 術前に自己血を患者自身から採取保存しておく自己血輸血は有用であり, 諸家らが報告している. 当科においても, 1986年この自己血輸血方式を導入して以来, 今日まで, 積極的に全上下顎移動術症例に応用してきている. そこで今回, 全上下顎移動術における自己血輸血の有用性を調査する目的で, 過去5年間に, 当科で同手術を施行した16症例を対象として, 比較検討した. 平均出血量は320ml, 平均採血量は450mlであった. さらに, 16症例中術中自己血輸血を施行した症例は11例で, その平均輸血量は427mlであった. 質問 滋賀医大 山口芳功 自己血の採血量(貯血量)について質問させて頂きます. 多くの症例での貯血量は400m1で, 平均貯血量が450mlと伺いましたが手術時平均出血量320m1から考えると貯血は必要なのでしょうか. 万一に備えての貯血という意味では貯血量が少ないと思いますが, いかがお考えですか. 回答 明海大歯口外1 高橋理恵子 不測の事態に備えて行うものである. 回答 明海大歯口外 嶋田淳 自己血採取の目標は800mlとしているが, 目標値に達していない症例もあり平均採取量は少なくなっている. 質問 氏名不詳 最大で720mlの出血量で, 輸血する必要はないのでないか. 回答 明海大歯口外1 高橋理恵子 昔は, 下顎単独症例でも, 自己血採血を行っていたが, 出血量も少なく行われなくなってきた. 全上下顎移動術に対しては, 不測の出血も予想されるため, 予備的に自己血採血を行っている. 回答 明海大歯工口外1 嶋田淳 A群は自己血採取輸血症例で, B群は自己血採取非輸血症例です. 他家輸血はしておりません.
ISSN:0029-0297