1-C-02-3.下顎枝垂直骨切り術の術中・術後の合併症,併発症について

下顎枝垂直骨切り術は, 口内法によるアプローチ, 術後の理学療法や顎間ゴム使用など後療法が確立されて以来, 下顎枝矢状分割法に比べ, オトガイ神経麻痺などの知覚異常の発現が少なく, また顎関節機能異常を併発する症例にも有用であることから, 最近本邦においても顎変形症治療によく用いられてきている. 今回, 術中術後の合併症, 併発症の面から, 当科におけるこの方法の有用性について検討したので, その概要を報告する. 【対象と方法】対象は当科で下顎変形症のため下顎枝垂直骨切り術単独手術で治療を行った146例(女108, 男38)である. 平均年齢は23.3歳. 術後経過1年以上のものを対象とした....

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.375-375
Hauptverfasser: 山口芳功, 大槻哲也, 西川正典, 坂本耕造, 西村一行, 岡野健, 竹下由美子, 山本学
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:下顎枝垂直骨切り術は, 口内法によるアプローチ, 術後の理学療法や顎間ゴム使用など後療法が確立されて以来, 下顎枝矢状分割法に比べ, オトガイ神経麻痺などの知覚異常の発現が少なく, また顎関節機能異常を併発する症例にも有用であることから, 最近本邦においても顎変形症治療によく用いられてきている. 今回, 術中術後の合併症, 併発症の面から, 当科におけるこの方法の有用性について検討したので, その概要を報告する. 【対象と方法】対象は当科で下顎変形症のため下顎枝垂直骨切り術単独手術で治療を行った146例(女108, 男38)である. 平均年齢は23.3歳. 術後経過1年以上のものを対象とした. 下顎変形症の内訳は下顎前突60, 下顎前突+非対象46, 非対象19, 下顎前突+開咬10, 開咬2, その他の複合変形9例であった. これらの症例に対して診療録, 手術時所見, X線写真所見を用いて, 脈管損傷, 術後の咬合変化, 顎関節機能異常, 神経障害, 術後感染の有無について検討を加えた. 【結果】脈管損傷において, 咬筋静脈よりのものと思われる術中異常出血は2例に認められたが重篤なものではなく, 平均出血量は76.81±57.67gであった. 術後矯正終了後6か月でオーバージェット, オーバーバイトの変化は7例に見られたが, いずれも1mm以内の軽度なものであった. 顎関節症状の発現は4例(7%)で, いずれも軽度なものであった. オトガイ神経知覚異常は1例(0. 7%)に認められた. また, 頬粘膜, 頬側歯肉の知覚異常は5例に認められたが, いずれも軽微なものであった. 術後感染は1例に認められた. まとめ:今回の結果から, 下顎枝垂直骨切り術は, 比較的, 合併症, 併発症の少ない有用な手術術式であると考えられた. しかしながら, 重篤な脈管損傷, 咬合異常を引き起こす可能性も報告されていることから, 慎重な手術操作と適切な後療法が重要であると考える.
ISSN:0029-0297