1-E-03-3.エナメル上皮線維歯牙腫の2例

エナメル上皮線維歯牙腫は, エナメル上皮線維腫と類似構造をもち象牙質およびエナメル質の形成を伴う稀な良性歯原性腫瘍である. 本腫瘍は1971年のWHOの国際腫瘍組織分類でPindborgらにより新たに記載されたものである. 今回, われわれは, エナメル上皮線維歯牙腫の2例を経験したので報告した. 症例1:13歳男性. 既往歴家族歴:特記事項なし. 現病歴:平成14年6月11日, 近医(歯科)にてパノラマX線写真上, 左下顎埋伏智歯周囲の不透過像を指摘され市立静岡病院口腔外科紹介. 6月13日初診. 6月20日CT:左下顎智歯の周囲に微細な石灰化の集籏がみられた. 8月2日全身麻酔下に摘出術施...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.364-364
Hauptverfasser: 木島毅, 長谷川和樹, 宮本日出雄, 出雲俊之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:エナメル上皮線維歯牙腫は, エナメル上皮線維腫と類似構造をもち象牙質およびエナメル質の形成を伴う稀な良性歯原性腫瘍である. 本腫瘍は1971年のWHOの国際腫瘍組織分類でPindborgらにより新たに記載されたものである. 今回, われわれは, エナメル上皮線維歯牙腫の2例を経験したので報告した. 症例1:13歳男性. 既往歴家族歴:特記事項なし. 現病歴:平成14年6月11日, 近医(歯科)にてパノラマX線写真上, 左下顎埋伏智歯周囲の不透過像を指摘され市立静岡病院口腔外科紹介. 6月13日初診. 6月20日CT:左下顎智歯の周囲に微細な石灰化の集籏がみられた. 8月2日全身麻酔下に摘出術施行. 病理組織学的診断はエナメル上皮線維歯牙腫であった. 8月10日軽快退院. 現在, 外来にて経過観察中である. 症例2:12歳女性. 既往歴:von Recklinghausen病. 家族歴:母親がvon Recklinghausen病. 現病歴:平成14年3月23日, 近医(歯科)にてパノラマX線写真上, 左上顎埋伏智歯相当部付近の不透過像を指摘され市立静岡病院口腔外科紹介. 3月26日初診. 3月27日CT:左上顎骨の埋伏第二大臼歯遠心部に上顎洞底に接して歯より低濃度の石灰化領域を認めた. 7月26日全身麻酔下に切除術施行. 病理組織学的診断はエナメル上皮線維歯牙腫であった. 8月3日軽快退院. 現在, 外来にて経過観察中である. 2症例とも腫瘍は被膜に包まれており摘出は比較的容易であった. また現在, 術後経過順調である. エナメル上皮線維歯牙腫は一般に摘出術が行われ, 臨床経過は比較的良好とされている. しかし海外ではReinburdやFurstらは再発例を報告しており, またHowellらやHerzogらは悪性化例を報告している. このことから本症例も今後長期にわたる経過観察が必要であると考えられた. 質問 九州大 樋口勝規 1. Biopsyはされましたか. 2. AFOとAFの関連をどう考えますか. 3. von Recklinghausen病と歯原性腫瘍の併発例の報告はありますか. 回答 市立静岡病院口外, 東医歯大`顎顔面外科 木島毅 1. 2例ともバイオプシーは行わず摘出術施行しました. 2. エナメル上皮線維腫から本疾患が生じたとするreportもありますが, 前者には再発悪性化があることから議論あり, 確定診は病理組織診断によることになると思います. また, エナメル上皮線維腫には, X線所見上石灰化物がみられることはまずないため, 術前診断の参考にできると考えます. 3. von Recklinghausen病に本疾患が併発したのは, われわれの渉猟するかぎりにおいては他にありませんでした.
ISSN:0029-0297