17.唾液腺癌における14-3-3σの発現制御-腺様嚢胞癌と粘表皮癌

近年, 種々の癌において14-3-3σの発現抑制が報告されている. われわれはヒト唾液腺癌組織[腺様嚢胞癌(ACC), 粘表皮癌(MEC)]における14-3-3σの発現を検索した. 免疫染色法にて14-3-3σの発現はACCのほぼ全例(13/14)において消失していたが, MECにおいてその発現は全例(10/10)に認められた. 一方, 14-3-3σはp53標的遺伝子として単離されたが, 近年その発現制御にはDNA hypermethylationが重要であることが報告されている. そのため, パラフィン切片よりmicrodissection法にてACC, MECより癌部由来DNAを抽出後,...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (3), p.159-159
Hauptverfasser: 内田大亮, ベゴムナシマミラ, アルムフテイアンマール, 立石善久, 吉田秀夫, 佐藤光信
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 種々の癌において14-3-3σの発現抑制が報告されている. われわれはヒト唾液腺癌組織[腺様嚢胞癌(ACC), 粘表皮癌(MEC)]における14-3-3σの発現を検索した. 免疫染色法にて14-3-3σの発現はACCのほぼ全例(13/14)において消失していたが, MECにおいてその発現は全例(10/10)に認められた. 一方, 14-3-3σはp53標的遺伝子として単離されたが, 近年その発現制御にはDNA hypermethylationが重要であることが報告されている. そのため, パラフィン切片よりmicrodissection法にてACC, MECより癌部由来DNAを抽出後, 14-3-3σ遺伝子に対するmethylation specific PCR(MSP)を行った. 14-3-3σの強い発現を認めたMECにおいて, そのメチル化はほとんど検出されなかったが, MECと比較してACCでは14-3-3σ遺伝子は有意(P=0. 046)にメチル化されていた. しかしながら, 種々の癌にてメチル化が報告されているp16遺伝子の双方の癌におけるメチル化頻度は低かった. 次にp53蛋白の発現を免疫染色法にて検索したところ, ACC(9/11), MEC(2/8)いずれにおいてもその染色性は減弱傾向にあり, これらの癌は野生型p53のphenotypeを示す可能性が示唆された. 以上の結果より, ACCの発生にはp53非依存性の14-3-3σのメチル化によるダウン制御が重要である可能性が示唆された. 質問 愛媛大, 医, 歯口外 新谷悟 HSG細胞の脱メチル化剤の分化誘導に14-3-3σが関連していると考えてよいのでしょうか. 回答 徳島大, 歯, 2口外 内田大亮 14-3-3σの発現抑制とHSG細胞の分化は関連していないと思われます.
ISSN:0029-0297