A-22.下顎エナメル上皮腫症例におけるインプラントの応用

エナメル上皮腫は緩慢な膨張性発育を示す良性腫瘍とされながらも, 浸潤性発育, 再発を示す場合があり, 治療では準悪性として取り扱われている. 特に下顎エナメル上皮腫の場合, 腫瘍摘出に際して経皮的な手法で下顎骨区域切除を施行されることが多く, 機能障害, 審美障害が問題となる. 今回, 下顎エナメル上皮腫症例に対し口内法による腫瘍摘出術と同時に骨移植による再建を行い, 後にインプラントを応用して咀嚼機能を回復できた症例を経験したので報告した. 症例は女性3例(平均年齢42.3歳)で, 全例で口内法手術を行い, 片側下顎骨辺縁切除による腫瘍摘出および腸骨による再建術(2例), 腫瘍摘出, オトガ...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (2), p.97-98
Hauptverfasser: 中村美喜子, 北川善政, 小笠原利行, 佐野和生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:エナメル上皮腫は緩慢な膨張性発育を示す良性腫瘍とされながらも, 浸潤性発育, 再発を示す場合があり, 治療では準悪性として取り扱われている. 特に下顎エナメル上皮腫の場合, 腫瘍摘出に際して経皮的な手法で下顎骨区域切除を施行されることが多く, 機能障害, 審美障害が問題となる. 今回, 下顎エナメル上皮腫症例に対し口内法による腫瘍摘出術と同時に骨移植による再建を行い, 後にインプラントを応用して咀嚼機能を回復できた症例を経験したので報告した. 症例は女性3例(平均年齢42.3歳)で, 全例で口内法手術を行い, 片側下顎骨辺縁切除による腫瘍摘出および腸骨による再建術(2例), 腫瘍摘出, オトガイ部からの骨移植術(1例)を行った. 術後平均7か月半後, 母骨, 移植骨にインプラントを埋入し, 固定性の補綴処置を行った. 全例で顎骨下縁の温存により審美的に満足すべき結果が得られ, また咀嚼機能も十分に回復できた. 質問 愛知医大歯口外 山田史郎 エナメル上皮腫は術後再発が心配されますが, あえて摘出直後に骨移植を行っておられます. 何か手術時に再発を防止する方法をとられましたか. 回答 福井医大歯口外 中村美喜子 症例2の場合は, エナメル上皮腫の再発というよりも, 腫瘍摘出時の取り残しが考えられます. 追加 金沢大医歯口外 山本悦秀 嚢胞性エナメル上皮腫に対し, 口内法で摘出することは審美的, 機能的に望ましいことと考えるが, 即時に骨移植せずに, しばらく経過を観察するのが安全であろうと判断します. 追加 福井医大歯口外 佐野和生 1)3症例ともに若い女性であったため, 審美性を重んじる手術を選択いたしました. 2)術式については, 骨の削合, 必要な部分では骨膜や軟組織も含めて切除するようにしています. 3)症例2では, 腫瘍の残存がみられましたが, 再建骨を切離し, 残存腫瘍を摘出. 再建骨を復位し, 問題なく生着しました. 4)対合歯の挺出なども考慮すると, 早期の骨移植, インプラント治療は良い方法と思います.
ISSN:0029-0297