2022年の新宿御苑におけるデング熱媒介蚊の駆除訓練の評価

1999年に感染症法が施行され, 東京都ではそれまで24時間365日の体制で行ってきた「伝染病患者の搬送・患者宅の消毒」を行ってきた東京都防疫所が廃止された. このような行政対応の変化を受けて, 東京都ペストコントロール協会は「行政に代わって感染症蔓延を防ぐための防疫作業を行うこと」を目的とし感染症予防衛生隊を組織した. 感染症予防衛生隊は東京都ペストコントロール協会に所属する正会員の中から消毒に必要な薬剤・資器材等を揃える「物的要件」と, 資格の取得および座学・実習・演習の受講を義務とした「人的要件」を満たすことを登録要件とし, 都内全域にまたがる29社 (2022年度) で構成されている. 感染症予防衛生隊の活動のひとつにデング熱対策としての蚊の広域防除がある. 2014年に東京都を中心として起こったデング熱流行の際には, 代々木公園, 明治神宮, 上野公園, 青山公園, 青山霊園, 新宿御苑から患者が発生したため駆除作業を行った (江畠, 2016).