10 多領域DNA配列解析によって推定された国内におけるライム病ボレリア病原体Borrelia gariniiの維持・伝播経路

感染症法規定疾患には動物由来感染症約50疾患が含まれているが, このうちの約半数はライム病など節足動物媒介性感染であり, 公衆衛生上, 重要な位置づけがなされている. そこで本研究では, ライム病病原体Borrelia gariniiに関して, 生態系内での病原体維持伝播様式を明らかにする目的で, ヒト患者由来株, 野鼠由来株, およびマダニ由来株の多領域DNA配列解析(MLST)による遺伝子型別を行い, ヒト疾患の原因となるボレリアの遺伝子型の自然界での分布を調べた. 本研究で用いたB.garinii株は84株(国内患者由来19株, 野鼠由来22株, およびIxodes persulcatu...

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Veröffentlicht in:Medical Entomology and Zoology 2011, Vol.62 (2), p.133-133
Hauptverfasser: 川端寛樹, 高野愛, 伊東拓也, 石畝史, 高田伸弘, 矢野泰弘, 中尾稔, 増沢俊幸, 藤田博己, 渡邉治雄, 大西真
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:感染症法規定疾患には動物由来感染症約50疾患が含まれているが, このうちの約半数はライム病など節足動物媒介性感染であり, 公衆衛生上, 重要な位置づけがなされている. そこで本研究では, ライム病病原体Borrelia gariniiに関して, 生態系内での病原体維持伝播様式を明らかにする目的で, ヒト患者由来株, 野鼠由来株, およびマダニ由来株の多領域DNA配列解析(MLST)による遺伝子型別を行い, ヒト疾患の原因となるボレリアの遺伝子型の自然界での分布を調べた. 本研究で用いたB.garinii株は84株(国内患者由来19株, 野鼠由来22株, およびIxodes persulcatus由来18株)である. これら分離株はMLST解析により2系統(Group AおよびGroup B)に分けられた. I.persulcatusからは両系統のB.gariniiが分離された. 一方, 野鼠由来22株はすべてGroup Bであった. また患者由来株のうち16株(84.2%)はGroup Bであった. 以上の結果より, 国内ヒト患者由来株の多くはB.garinii Group Bであること, またこれら病原体は, 自然界においては野鼠-I.persulcatus間で伝播, 維持されている可能性が示された.
ISSN:0424-7086