2 フタトゲチマダニにおけるリゾチームの発現動態
マダニは様々な病原体に曝され, それらに対して抵抗性を示すために, 初期免疫感染防御機構を発達させていることが予想される. リゾチームは動植物において広く存在していることが知られており, 初期免疫応答においてリゾチームが重要な役割を担っていることが考えられる. 近年各種ダニにおいて, リゾチームの報告がいくつかなされており, リゾチームが病原体に対する感染防御機構に関連していることが示唆されている. しかしながら, フタトゲチマダニにおけるリゾチームの役割については十分な知見は得られていない. そこで, 我々はフタトゲチマダニのcDNAライブラリーから構築されたESTデーターベースを用いて,...
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Veröffentlicht in: | Medical Entomology and Zoology 2010-06, Vol.61 (2), p.181-181 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | マダニは様々な病原体に曝され, それらに対して抵抗性を示すために, 初期免疫感染防御機構を発達させていることが予想される. リゾチームは動植物において広く存在していることが知られており, 初期免疫応答においてリゾチームが重要な役割を担っていることが考えられる. 近年各種ダニにおいて, リゾチームの報告がいくつかなされており, リゾチームが病原体に対する感染防御機構に関連していることが示唆されている. しかしながら, フタトゲチマダニにおけるリゾチームの役割については十分な知見は得られていない. そこで, 我々はフタトゲチマダニのcDNAライブラリーから構築されたESTデーターベースを用いて, リゾチーム遺伝子の検索を行い, リゾチーム遺伝子を単離・同定した. 幼ダニから成ダニまで, 吸血によるリゾチーム遺伝子の発現をRT-PCRにより調べたところ, 大きな変化は認められなかった. しかしながら, 成ダニのリゾチーム遺伝子の発現を臓器別で調べたところ, 唾液腺, ヘモリンフ, 脂肪体では, 吸血によって発現レベルが上昇することが明らかとなった. 次に, グラム陽性菌あるいは陰性菌を接種したダニ全体と臓器別で調べたリゾチーム遺伝子の発現量は, ダニ全体ではいずれの菌体接種でも18時間~24時間後に最大となり, グラム陽性菌接種群でより高かった. 臓器別ではヘモリンフの発現量がどの観察時においても高く, 中腸や卵巣では接種後, 経時的に発現量が増大した. また, 緑色蛍光タンパク質発現接種したダニでは, ヘモリンフで顕著な菌体の増数が形態的に観察され, リゾチームの発現が疑われた. 以上の結果から, マダニのリゾチームが, グラム陽性菌・陰性菌のいずれに対する感染防御においても深く関わっていることが推察された. |
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ISSN: | 0424-7086 |