6 青森県における紅斑熱のベクター調査
2007年6月に発熱等を呈した青森県八戸市在住者1名が日本紅斑熱と診断され, 発病の数日前に出かけた同県下北半島での感染が強く疑われた. そこで, 同年8月と9月および2008年7月に同半島において, マダニ類を主な対象にベクター調査を実施した. 採集したマダニのうち, キチマダニ, ヒトツトゲマダニ, ヤマトマダニおよびシュルツェマダニからリケッチアが分離され, これらの分離株は紅斑熱群のRickettsia helvetica(ヒトツトゲマダニとシュルツェマダニから)とR. asiatica(ヤマトマダニから), R. canadensis(キチマダニから)および不明1種(シュルツェマダニ...
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Veröffentlicht in: | Medical Entomology and Zoology 2010-06, Vol.61 (2), p.152-152 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 2007年6月に発熱等を呈した青森県八戸市在住者1名が日本紅斑熱と診断され, 発病の数日前に出かけた同県下北半島での感染が強く疑われた. そこで, 同年8月と9月および2008年7月に同半島において, マダニ類を主な対象にベクター調査を実施した. 採集したマダニのうち, キチマダニ, ヒトツトゲマダニ, ヤマトマダニおよびシュルツェマダニからリケッチアが分離され, これらの分離株は紅斑熱群のRickettsia helvetica(ヒトツトゲマダニとシュルツェマダニから)とR. asiatica(ヤマトマダニから), R. canadensis(キチマダニから)および不明1種(シュルツェマダニから)に同定された. 患者血清の各種リケッチア抗原に対する反応性は, R. canadensisと不明種分離株には陰性, R. helveticaとR. asiaticaには陽性, また, この地域には未確認の日本紅斑熱病原体R. japonicaに最も高い抗体価を示した. 翌2008年7月に宮城県仙台市で発生した紅斑熱がR. japonicaに近縁のR. heilongjiangensisによるものであったことから, 青森の症例についてもその可能性が示唆された. 当該リケッチアの主要媒介種イスカチマダニは, これまでに下北半島からの記録はなく今回も採集されなかったが, 最近になって新たに患者在住地の八戸市内に生息が確認されたことから, 実際の感染地は当初推定された下北半島ではなく, 患者宅周辺の可能性も出てきた. 現在, 八戸地区において調査中である. 調査参加者:三上稔之・熊谷邦彦(青森県環境保健センター), 花岡希・本田尚子(感染症研究所), 川森文彦(静岡県環境衛生科学研究所) |
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ISSN: | 0424-7086 |