12 カンボジアにおけるタイ肝吸虫症感染にかかわる中間宿主調査報告 ―その1:Bithynia属の貝(第1中間宿主)について

カンボジア南部・メコン河支流のバサック川水域周辺の複数の村で野物由来感染症であるタイ肝吸虫陽性者が認められた. これらの村では7~9割の住民に淡水魚の生食習慣が見られ, トイレの普及率は1~2割と低かった. 雨季には村周辺は広範囲に浸水する. 感染者便中の虫卵が感染源となり, 感染サイクルが成立していることが疑われた. タイ肝吸虫はBithynia属の貝を第1中間宿主に, コイ科淡水魚を第2中間宿主に持つ. 当該地域に中間宿主が棲息するかどうか, またそこに寄生する感染幼虫が検出されるかどうかを検証するために調査を実施した. タイ肝吸虫感染率が最も高かった(26.9%:Kato-Katz法)A...

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Veröffentlicht in:Medical Entomology and Zoology 2009, Vol.60 (2), p.148-148
Hauptverfasser: 宮本和子, 松田肇, 桐木雅史, 千種雄一, Muth Sinuon, Duong Socheat, Viroj Kitikoon
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:カンボジア南部・メコン河支流のバサック川水域周辺の複数の村で野物由来感染症であるタイ肝吸虫陽性者が認められた. これらの村では7~9割の住民に淡水魚の生食習慣が見られ, トイレの普及率は1~2割と低かった. 雨季には村周辺は広範囲に浸水する. 感染者便中の虫卵が感染源となり, 感染サイクルが成立していることが疑われた. タイ肝吸虫はBithynia属の貝を第1中間宿主に, コイ科淡水魚を第2中間宿主に持つ. 当該地域に中間宿主が棲息するかどうか, またそこに寄生する感染幼虫が検出されるかどうかを検証するために調査を実施した. タイ肝吸虫感染率が最も高かった(26.9%:Kato-Katz法)A村周辺で, 2007年8月末~9月上旬に第1中間宿主貝の調査を行った. 複数のポイントから採取した2,875匹のBithynia属の貝の2.7%からタイ肝吸虫に類似の特徴を持つセルカリアを検出した. あるエリアでは24~48%と高い感染率であった. カンボジアで採取したBithynia属の貝から遊走したセルカリアをコイ科淡水魚に感染させ, これから得たメタセルカリアのハムスターへの感染実験から, タイ肝吸虫・虫卵および成虫が確認された. タイ肝吸虫高感染地域であるA村周辺にはタイ肝吸虫の第1中間宿主となるBithynia属の貝が棲息し, 本吸虫に自然感染していることが証明された.
ISSN:0424-7086