7 東北地方中部のマダニ相とマダニ保有リケッチア検査(第54回日本衛生動物学会北日本支部大会講演要旨)
2007年6月14日から16日に, 東北地方中部のマダニ相およびマダニ媒介リケッチアの実態把握を目的として, 秋田・岩手両県に位置する真昼山地の真昼岳と和賀岳ならびに岩手県北上高地南端部の五葉山と笛吹峠において, マダニの採集とマダニからのリケッチア検査を実施した. マダニはハタズリ法によって植生上から採集し, 一部については個体別に培養細胞への接種によるリケッチア分離を試みた. 真昼山地では, ヤマトチマダニ, ヒトツトゲマダニ, ヤマトマダニ, シュルツェマダニが採集され, このうち和賀岳(秋田県側)のヒトツトゲマダニからは紅斑熱群に属するリケッチアが分離された. 北上高地南部ではヤマトチ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | Medical Entomology and Zoology 2008/06/15, Vol.59(2), pp.96 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 2007年6月14日から16日に, 東北地方中部のマダニ相およびマダニ媒介リケッチアの実態把握を目的として, 秋田・岩手両県に位置する真昼山地の真昼岳と和賀岳ならびに岩手県北上高地南端部の五葉山と笛吹峠において, マダニの採集とマダニからのリケッチア検査を実施した. マダニはハタズリ法によって植生上から採集し, 一部については個体別に培養細胞への接種によるリケッチア分離を試みた. 真昼山地では, ヤマトチマダニ, ヒトツトゲマダニ, ヤマトマダニ, シュルツェマダニが採集され, このうち和賀岳(秋田県側)のヒトツトゲマダニからは紅斑熱群に属するリケッチアが分離された. 北上高地南部ではヤマトチマダニを除く真昼山地の全種に加え, キチマダニ, 同地域に高密度で生息するニホンジカに大きく依存していると推定されるヒゲナガチマダニとオオトゲチマダニが採集され, このうち五葉山のヒトツトゲマダニからは紅斑熱群リケッチアの1種が分離された. 東北地方中部においては, これまでに岩手県の早池峰山系のシュルツェマダニと湯田地区のヒトツトゲマダニからの紅斑熱群リケッチアの分離例が知られていて, 今回の調査結果と合わせると広い範囲の地域にわたってマダニ類がリケッチアを保有していることが示唆された. 今回も含めてこれまでに分離されたリケッチア株の種への同定を含む解析は終了していないものの, いずれもヒトへの病原性の知られるRickettsia helveticaと推定され, 同地方における紅斑熱の潜在が強く疑われた. |
---|---|
ISSN: | 0424-7086 2185-5609 |
DOI: | 10.7601/mez.59.96_4 |