13 コガタイエカからのウイルス分離の試み : 大丈夫か?日本脳炎は(一般講演,第60回日本衛生動物学会西日本支部大会講演要旨)

日本脳炎患者は1992年以降は年間10名未満に激減しており, 日脳ワクチン接種が無用ではないかとの考えが広まる中, 2004年に山梨県の1中学生が重症のADEMを発症し, 日脳予防接種の副作用と疑われため, 2005年5月30日に日脳ワクチン接種が見合わされ, 7月29日からは中学生への接種が廃止された. しかし, 日本脳炎は, 中国, インドなど東南アジアで近年大流行していて, 年間4万人前後の小児が発症し, 約1万人が死亡している, 主要媒介蚊のコガタイエカは強度の殺虫剤抵抗性を獲得していて, 気流に乗って遠距離飛翔し, 海を渡ってやってくる. 水田など発生源のない都市部でも安閑としてはお...

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Veröffentlicht in:Medical Entomology and Zoology 2006/06/15, Vol.57(2), pp.168
Hauptverfasser: 上村, 清, 竹上, 勉, 村上, 学, 及川, 陽三郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:日本脳炎患者は1992年以降は年間10名未満に激減しており, 日脳ワクチン接種が無用ではないかとの考えが広まる中, 2004年に山梨県の1中学生が重症のADEMを発症し, 日脳予防接種の副作用と疑われため, 2005年5月30日に日脳ワクチン接種が見合わされ, 7月29日からは中学生への接種が廃止された. しかし, 日本脳炎は, 中国, インドなど東南アジアで近年大流行していて, 年間4万人前後の小児が発症し, 約1万人が死亡している, 主要媒介蚊のコガタイエカは強度の殺虫剤抵抗性を獲得していて, 気流に乗って遠距離飛翔し, 海を渡ってやってくる. 水田など発生源のない都市部でも安閑としてはおれない. コガタイエカはかっての日本脳炎流行時に匹敵する多発生をしていて, 肥育豚の日脳ウイルス抗体保有も各地で認められている. 実際どの程度ウイルスが分布しているかを調べるため, 2005年8月18日及び31日に, 能登地域2箇所(石川県宇ノ気町と宝達志水町押水)で野外蚊捕集を行い, コガタイエカ40匹1プールでウイルス分離, RT-PCRを行い, 8月31日に得られたコガタイエカ1759匹から日脳ウイルスに特異的な塩基配列を有する7株を分離した. 蚊250匹に1匹が日脳ウイルスを保有していたと思われ, シーズンに夜間外出すれば吸血されて感染する危険性がある. 日脳ワクチン接種後にウイルス保有蚊に吸血されるブースター効果によって抗体が長期間保有されると考えられ, 抗体保有率が50%と低い30~50代が高齢化する10~30年後には日脳患者が増えていくと思われ, 積極的なワクチン接種を中止すれば小児でも日本脳炎はリバイバルになると危惧される. 早急なる日脳ワクチンの積極的な接種再開が望まれる.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.57.168_2