4.マウスにおける蚊アレルギー性掻痒反応に対するアゼラスチンの抑制作用(58回日本衛生動物学会西日本支部大会講演要旨)

多くの人は, 蚊刺しによりアレルギー性の痒みを生じる. マスト細胞から放出されるhistamineが痒みの原因と一般に考えられているが, 確かな証拠は提出されていない. 蚊刺しあるいは蚊唾液腺抽出物(SGE)注射を繰り返すと, マウスに掻き動作を引き起こす. 本研究では, SGE注射によるマウスのアレルギー性掻痒反応に対する抗アレルギー薬azelastineの効果を検討した. マウスに初めてヒトスジシマカのSGEを注射すると, 掻き動作はほとんど惹起されず, 血漿血管外漏出も起きなかった. しかし, SGEを繰り返し注射すると, 掻き動作数が増加し, 明らかな血漿血管外漏出が見られた. 抗ヒス...

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Veröffentlicht in:Medical Entomology and Zoology 2004/06/15, Vol.55(2), pp.146
Hauptverfasser: 大塚, 英治, 川井, 早苗, 安東, 嗣修, 野島, 浩史, 上村, 清, 倉石, 泰
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:多くの人は, 蚊刺しによりアレルギー性の痒みを生じる. マスト細胞から放出されるhistamineが痒みの原因と一般に考えられているが, 確かな証拠は提出されていない. 蚊刺しあるいは蚊唾液腺抽出物(SGE)注射を繰り返すと, マウスに掻き動作を引き起こす. 本研究では, SGE注射によるマウスのアレルギー性掻痒反応に対する抗アレルギー薬azelastineの効果を検討した. マウスに初めてヒトスジシマカのSGEを注射すると, 掻き動作はほとんど惹起されず, 血漿血管外漏出も起きなかった. しかし, SGEを繰り返し注射すると, 掻き動作数が増加し, 明らかな血漿血管外漏出が見られた. 抗ヒスタミン薬terfenadineとステロイドbetamethasoneは, SGEによる血漿血管外漏出を抑制したが, 掻き動作を抑制しなかった. 抗アレルギー薬azelastine(3-30mg/kg, p.o.)前処置はSGE誘発の掻き動作と血漿血管外漏出を用量依存的に抑制した. SGE注射が, 感作マウスの皮膚神経枝活動を著しく増加したが, 非感作マウスでは影響しなかった. Azelastine(30mg/kg)がSGE誘発の神経発火を顕著に抑制した. さらに, 初代培養マウス後根神経節細胞を30mM K+で刺激して観察される細胞内 Ca2+濃度上昇を, azelastine(30, 100μM)が用量依存的に抑制した. 以上の結果は, 蚊アレルギー性掻痒反応に対してazelastineは末梢性の抑制作用を有し, その作用機序の一つに末梢神経への直接作用があることが示唆される.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.55.146_4