唾液腺腫瘍の糖鎖解析―粘表皮癌と腫瘍関連MUC1

唾液腺悪性腫瘍の約30%を占める粘表皮癌はムチンを多く含む事が報告されており,診断に苦慮することがある.ムチンの中でもMUC1は,診断および予後を判断する腫瘍マーカーとして研究がなされてきた.さらに,ムチンは分子量の50%以上が糖鎖で構成されており,その糖鎖も悪性化に伴い変化が報告されている.我々は,粘表皮癌および正常唾液腺のムチンを構成する糖鎖を分析し,新しい診断マーカーを発見すべく研究を行なった.粘表皮癌,正常唾液腺の検体より分子マトリックス電気泳動を用いてムチンを分離し,糖鎖を遊離し質量分析を行なった.粘表皮癌ではMUC1に結合するシアル酸化されたコア2型タイプの糖鎖が多く検出し,中でも...

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Veröffentlicht in:電気泳動 2022, Vol.66(2), pp.67-70
Hauptverfasser: 井坂, 栄作, 杉浦, 貴則, 橋本, 和彦, 菊田, 一貴, 穴澤, 卯圭, 野村, 武史, 亀山, 昭彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:唾液腺悪性腫瘍の約30%を占める粘表皮癌はムチンを多く含む事が報告されており,診断に苦慮することがある.ムチンの中でもMUC1は,診断および予後を判断する腫瘍マーカーとして研究がなされてきた.さらに,ムチンは分子量の50%以上が糖鎖で構成されており,その糖鎖も悪性化に伴い変化が報告されている.我々は,粘表皮癌および正常唾液腺のムチンを構成する糖鎖を分析し,新しい診断マーカーを発見すべく研究を行なった.粘表皮癌,正常唾液腺の検体より分子マトリックス電気泳動を用いてムチンを分離し,糖鎖を遊離し質量分析を行なった.粘表皮癌ではMUC1に結合するシアル酸化されたコア2型タイプの糖鎖が多く検出し,中でも(Hex)2(HexNAc)2(NeuAc)1および(Hex)2(HexNAc)2(NeuAc)2が豊富に検出した.粘表皮癌が発現するMUC1は糖鎖に特徴を持った腫瘍関連MUC1であると考えられ新たな診断マーカーの開発に向けて今後さらに研究を進めていきたい.
ISSN:2189-2628
2189-2636
DOI:10.2198/electroph.66.67