2型糖尿病においてインスリン発現抑制を制御する新規シグナル経路

慢性的な高血糖は膵臓β細胞においてインスリン分泌障害とインスリン発現抑制を引き起こす.これらの現象は糖毒性と呼ばれるが,糖毒性を引き起こす詳細な分子メカニズムは不明である.我々は,糖毒性におけるインスリン発現抑制に関わるシグナル経路を解析してきた.マルチPK抗体を用いた解析により,糖毒性状態の膵臓β細胞においてcalcium/calmodulin-dependent protein kinase IV (CaMKIV) がcalpainによって分解されて減少することを明らかとした.また,マイクロアレイを基盤とした解析により,糖毒性状態のINS-1細胞においてcandidate plastici...

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Veröffentlicht in:電気泳動 2021, Vol.65(2), pp.47-50
Hauptverfasser: 杉山, 康憲, 中根, 達人, 坂本, 修士, 村尾, 孝児
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性的な高血糖は膵臓β細胞においてインスリン分泌障害とインスリン発現抑制を引き起こす.これらの現象は糖毒性と呼ばれるが,糖毒性を引き起こす詳細な分子メカニズムは不明である.我々は,糖毒性におけるインスリン発現抑制に関わるシグナル経路を解析してきた.マルチPK抗体を用いた解析により,糖毒性状態の膵臓β細胞においてcalcium/calmodulin-dependent protein kinase IV (CaMKIV) がcalpainによって分解されて減少することを明らかとした.また,マイクロアレイを基盤とした解析により,糖毒性状態のINS-1細胞においてcandidate plasticity gene 16 (CPG16) の発現量が増加し,インスリン発現を抑制することが示された.加えて,CPG16の基質として見出したjun dimerization protein 2 (JDP2) がインスリン発現を正に制御することを見出した.さらに,CPG16がJDP2によるインスリンプロモーター活性の上昇をキナーゼ活性依存的に抑制することが示された.これらの結果から,糖毒性におけるインスリン発現抑制にcalpain-CaMKIV経路およびCPG16-JDP2経路が重要な役割を担うことが示唆される.
ISSN:2189-2628
2189-2636
DOI:10.2198/electroph.65.47