ヘテロ核リボヌクレオタンパク質Kの質的変動モニタリング

「はじめに」 ヘテロ核リボヌクレオタンパク質K(Heterogeneous nuclear ribonucleoprotein K, 以下, hnRNPK)は, DNAやRNA, さらにはキナーゼをはじめとした複数のタンパク質と相互作用する多機能性のタンパク質であり, 転写制御やmRNAの安定性, スプライシング, さらにはタンパク質の翻訳に関与するなど様々な細胞内プロセスにおいて重要な役割を果たしている. また, 近年, 様々な癌細胞においてhnRNPKの過剰発現が見出され, 癌の悪性度や治療後の予後との関連性も示唆されている. ここでは, 選択的スプライシングやリン酸化によるタンパク質の質的多様性に着目し, hnRNPKの質的変動をモニタリングする方法について紹介する. 「HnRNPKの多様性」 HnRNPKは, 同じ遺伝子に由来する4種類の選択的スプライシングバリアントとして細胞内で発現していることが知られている.