DNAメチル化による胚発生エピジェネティクス制御

はじめに DNAメチル化は, 主に抑制的な遺伝子発現プログラムを細胞分裂後の娘細胞に伝えるエピジェネティクス制御機構である1). 哺乳類胚発生過程において, 胚を構成する種々の細胞ゲノムのDNAメチル化は, 時間的・空間的に変化し, その結果, 組織・細胞種特異的なDNAメチル化プロファイルが形成される2). この特異的なゲノムDNAメチル化プロファイルは, 様々な作用機序・クロストークを介して, 広範な生理/病理現象に大きな役割あるいは影響をもつ3, 4). 哺乳類初期胚発生においてゲノムDNAメチル化は動的に制御される2, 3). 受精直後から胞胚期にかけて起こるゲノム全体のメチル化低下と...

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Veröffentlicht in:生物物理化学 2007, Vol.51(3), pp.215-217
1. Verfasser: 岡野, 正樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:はじめに DNAメチル化は, 主に抑制的な遺伝子発現プログラムを細胞分裂後の娘細胞に伝えるエピジェネティクス制御機構である1). 哺乳類胚発生過程において, 胚を構成する種々の細胞ゲノムのDNAメチル化は, 時間的・空間的に変化し, その結果, 組織・細胞種特異的なDNAメチル化プロファイルが形成される2). この特異的なゲノムDNAメチル化プロファイルは, 様々な作用機序・クロストークを介して, 広範な生理/病理現象に大きな役割あるいは影響をもつ3, 4). 哺乳類初期胚発生においてゲノムDNAメチル化は動的に制御される2, 3). 受精直後から胞胚期にかけて起こるゲノム全体のメチル化低下と, 胞胚の子宮着床から原腸胚・器官形成にかけて起こるde novoメチル化によって, 胚の基本的なゲノム配列特異的および組織特異的なDNAメチル化プロファイルが形成されると考えられている. 主に反復配列におけるDNAメチル化変化の研究から, 将来の胚・成体を形成する内部細胞塊/エピブラスト系列では, ゲノム全体が高度にメチル化され, 胎盤・羊膜など胚体外組織を形成する栄養外胚葉や原始内胚葉系列では, ゲノム全体のメチル化は比較的低いレベルである.
ISSN:0031-9082
1349-9785
DOI:10.2198/sbk.51.215