22.プロテオーム解析法によるリン酸化タンパク質の同定
【目的】タンパク質のリン酸化は, タンパク質の最も重要なposttranslational modificationの一つであり, 細胞内シグナル伝達系, 代謝系など, 様々な生物学的過程に関与する重要な反応である. この細胞内リン酸化タンパク質の検出に電気泳動を用いたプロテオーム解析法は強力な分析手段である. 我々は, まずリン酸化ペプチドやcaseinを用いてMALDI-TOF/MSによる検出方法を検討した. この方法を用いて, ミエリンの構成タンパク質であるmyelin basic protein(MBP)について分析を行なった. 【方法】(1)市販のリン酸化ペプチドP60c-src p...
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Veröffentlicht in: | 生物物理化学 2004, Vol.48 (suppl), p.39-39 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】タンパク質のリン酸化は, タンパク質の最も重要なposttranslational modificationの一つであり, 細胞内シグナル伝達系, 代謝系など, 様々な生物学的過程に関与する重要な反応である. この細胞内リン酸化タンパク質の検出に電気泳動を用いたプロテオーム解析法は強力な分析手段である. 我々は, まずリン酸化ペプチドやcaseinを用いてMALDI-TOF/MSによる検出方法を検討した. この方法を用いて, ミエリンの構成タンパク質であるmyelin basic protein(MBP)について分析を行なった. 【方法】(1)市販のリン酸化ペプチドP60c-src peptide 521-533(tyrPO3H), T6(1P)phosphopeptide, T1-2(4P)phoshpopeptide, caseinα, β, ovalbuminを材料にして, 島津質量分析装置AXIMA CFRによりMALDI-TOF/MS分析, MS-Fitサーチエンジンによるリン酸化部位の検出を行った. さらに, ペプチドのリン酸化を確認する目的で, PSD(post-source decay)モードによる質量分析を行ない, 脱リン酸化による質量減少(neutral loss)の検出を試みた. また, ゲル内消化したペプチドのmetal ion affinity chromatography(Piece Phosphopheptide Isolation Kit)の溶出条件の検討を行った. (2)リン酸化タンパク質caseinα, β, ovalbuminを用いてSDS-PAGE後, Pro-Q DiamondとSypro Ruby染色条件を検討し, trypsin処理後プロテオーム解析を行った. (3)これらの結果をふまえて, ラット大脳MBPのプロテオーム解析とリン酸化部位の検出を行った. 材料は, 既に報告した1), 21日, 3.5ヶ月, 24ヶ月齢ラットをPBSで還流後, 大脳を採取し, 液体窒素冷却化で破砕し, 得られた凍結粉末をクロロホルム, メタノールで脱脂後, アセトン粉末を得た. この粉末を0.1N HClで超音波処理してホモゲネートとし, 10,000xg可溶性分画をLaemmliのSDS solutionと混合し, sample solutionを得た. タンパク質量をローリー法で測定し, レーン当たりのタンパク質量をそろえてSDS-PAGEを行った. ゲルをlysyl endopeptidase AP-1で処理後HPLCで分画し, Pulse Liquid Phase Seqnencerを用いてアミノ酸配列分析を行った. また, SDS-PAGE後, Pro-Q Diamond, SYPRO Ruby染色し, リン酸化タンパク質を確認した. このSDS-PAGEゲルをtrypsinを用いてゲル内消化し, MALDI-TOF/MAS, MS-Fitサーチエンジン, PSD法を用い, MBPのリン酸化部位を同定した. 【成績】市販のリン酸化ペプチド, trypsin消化casein α, βを用いてmetal affinity chromatographyを行い, 0.1M ammonium bicarbonate(pH 8.7)での溶出条件を確定した. また, リン酸化部位のPSDを行い, serine, threonineではneutral loss(98Da, 80Da)のMS, tyrosineでは(82. 6Da)のMSが検出されることを確認した. さらに, ゲル上Pro-Q Diamond染色を行い, リン酸化タンパク質の位置を同定した. また, 21日, 3.5ヶ月, 24ヶ月齢ラット大脳のSDS-PAGE, CBB染色後のMBP14.0kDa, 17.0kDa, 18.5kDa, 21. 5kDaをHPLC, アミノ酸配列分析, 特異抗体で同定した. 各MBPのtrypsinゲル内消化ペプチドのリン酸化部位をMS Fitサーチエンジンで検索した結果864.8(188-194, 2P), 944.5(68-75, 1P), 1268.5(1-10, 1P), 2065.7(11-26, 4P), 2268.2(68-85, 2P)がリン酸化されていることが明らかとなった. その内, 944.5のペプチドのリン酸化は, 幾つかのMBP分子種に共通に検出された. 現在, リン酸化アミノ酸について, PSD法によって分析を進めている. また, 本法により大脳中のリン酸化タンパク質としてtubulin beta chain c(T beta-15, 50.0 kDa), alpha-internexin(56.1 kDa), neurofilament triplet L(68kDa)or M protein(160kDa)を同定した. 【考察】プロテオーム法によるタンパク質のリン酸化について検討を行い, リン酸化タンパク質の同定が可能となった. その概略は, タンパク質のSDS-PAGEによる分離, Pro-Q Diamondとsypro Ruby染色, リン酸化タンパク質のtrypsin ゲル内消化, MALDI-TOF/MS, ペプチドのMS-Fitサーチエンジンによるリン酸化ペプチドの同定, affinity chromatographyによるリン酸化ペプチドの濃縮, PSDによるリン酸化アミノ酸の検出である. さらに微量なリン酸化タンパク質の同定を目的に, リン酸化タンパク質のaffinity chromatographyによる濃縮条件についても検討し, 合わせて報告する. 【文献】1) Akiyama K., Ichinose S., Omori A., Sakurai Y., and Asou H.. Study of Expression of M |
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ISSN: | 0031-9082 |