脳特異的糖鎖とその生合成に関わる“脳型”ガラクトース転移酵素

我々は以前, マウスの各臓器からN-配糖体糖鎖を調製し, 逆相HPLCによって比較分析を行った. その結果, 中枢神経系に特異的に発現している2種類の糖鎖 (BA-1, BA-2) を見出し, それらの構造を決定した. 特にBA-2は相対量が多く, 大脳の全N-配糖体糖鎖量の5%, 小脳では7%を占めていた. また, マウスの脳の発達初期段階において強く発現しており, 神経突起の伸長やシナプスの形成に関与しているのではないかと推察されている. 今回我々は, BA-1, BA-2がマウスの脳における糖鎖の生合成過程での中間産物ではなく, 構造的にも突出した糖鎖であり, その生合成には非常に厳密な...

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Veröffentlicht in:生物物理化学 2004/03/15, Vol.48(1), pp.1-4
Hauptverfasser: 中北, 愼一, 長束, 俊治, 池中, 一裕, 長谷, 純宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は以前, マウスの各臓器からN-配糖体糖鎖を調製し, 逆相HPLCによって比較分析を行った. その結果, 中枢神経系に特異的に発現している2種類の糖鎖 (BA-1, BA-2) を見出し, それらの構造を決定した. 特にBA-2は相対量が多く, 大脳の全N-配糖体糖鎖量の5%, 小脳では7%を占めていた. また, マウスの脳の発達初期段階において強く発現しており, 神経突起の伸長やシナプスの形成に関与しているのではないかと推察されている. 今回我々は, BA-1, BA-2がマウスの脳における糖鎖の生合成過程での中間産物ではなく, 構造的にも突出した糖鎖であり, その生合成には非常に厳密な基質認識を行う“脳型”ガラクトース転移酵素が重要であることについて, ピリジルアミノ化法を用いた糖鎖構造解析とガラクトース転移酵素の基質特異性を解析することで明らかにした.
ISSN:0031-9082
1349-9785
DOI:10.2198/sbk.48.1