症候性carotid webにおけるin situ血栓と機械的血栓回収療法で得られた遠位血栓の病理組織学的検討 ─症例報告

carotid web(CW)は,内頚動脈球部に限局した内膜の線維性過形成で,症候性の場合,内科治療抵抗性とされるが,その理由や最適薬物療法に関する知見は十分でない.今回,CWより遠位塞栓をきたした症例において,急性期に血栓回収療法,慢性期にcarotid endarterectomy(CEA)を施行し,塞栓性遠位血栓およびCW内血栓の病理組織学的所見を検討できた症例を経験したので報告する.症例は40歳代の男性.急性発症した右M2閉塞に対し,機械的血栓回収療法を行い完全再開通が得られた.同側頚部頚動脈に軽度のCW様の狭窄を認めたが典型的でないと判断し,術後はアスピリン 100mg,クロピドグレ...

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Veröffentlicht in:脳卒中の外科 2024, Vol.52(1), pp.42-47
Hauptverfasser: 仙北谷, 直幹, 清水, 宏明, 山口, 卓, 畠, 愛子, 山内, 美佐, 杉田, 暁大, 須田, 良孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:carotid web(CW)は,内頚動脈球部に限局した内膜の線維性過形成で,症候性の場合,内科治療抵抗性とされるが,その理由や最適薬物療法に関する知見は十分でない.今回,CWより遠位塞栓をきたした症例において,急性期に血栓回収療法,慢性期にcarotid endarterectomy(CEA)を施行し,塞栓性遠位血栓およびCW内血栓の病理組織学的所見を検討できた症例を経験したので報告する.症例は40歳代の男性.急性発症した右M2閉塞に対し,機械的血栓回収療法を行い完全再開通が得られた.同側頚部頚動脈に軽度のCW様の狭窄を認めたが典型的でないと判断し,術後はアスピリン 100mg,クロピドグレル 75mgを投与,再発なく経過した.超音波検査で術翌日に狭窄部に付着する血栓がみられたが,術後35日目まで経時的に縮小した.血栓回収で得られた血栓は病理組織学的に血小板主体で赤血球を含む混合血栓であった.心臓などの精査で異常なく,症候性CWと判断し,発症3カ月でCEAを施行した.病理組織学的にCW遠位の窪みに血小板主体の血栓を認めた.CWにおいて血小板主体の血栓の上に混合血栓が二次血栓として形成され動脈原性塞栓を起こしたものと推測した.本症例では抗血小板療法が二次血栓形成を抑制した可能性があるが,症例を重ねての検討が必要と思われた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.52.42