後下小脳動脈に限局した解離性脳動脈瘤破裂に対してLVIS Jr.のoverlap stentingにより治療した1例
LVIS Jr.を用いたoverlap stentingで治療した後下小脳動脈(PICA)に限局した解離性脳動脈瘤破裂の1例を報告する.症例は74歳の女性で,意識障害で発症し,当院へ救急搬送された.来院時WFNS grade IV,頭部CTでのくも膜下出血を認め,DSAで左後下小脳動脈のlateral medullary segmentに限局した動脈解離を認めた.紡錘形の解離性動脈瘤であり,解離部の血管径は3.0mmであった.大きさが小さくコイル塞栓による治療は困難と考えられ,母血管閉塞では脳幹部梗塞の回避が困難と判断した.そこで整流効果を期待してLVIS Jr.を2本用いたoverlap s...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 脳卒中の外科 2023, Vol.51(5), pp.417-422 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | LVIS Jr.を用いたoverlap stentingで治療した後下小脳動脈(PICA)に限局した解離性脳動脈瘤破裂の1例を報告する.症例は74歳の女性で,意識障害で発症し,当院へ救急搬送された.来院時WFNS grade IV,頭部CTでのくも膜下出血を認め,DSAで左後下小脳動脈のlateral medullary segmentに限局した動脈解離を認めた.紡錘形の解離性動脈瘤であり,解離部の血管径は3.0mmであった.大きさが小さくコイル塞栓による治療は困難と考えられ,母血管閉塞では脳幹部梗塞の回避が困難と判断した.そこで整流効果を期待してLVIS Jr.を2本用いたoverlap stentingを施行した.術後,一過性に嗄声を認めたが最終的にmRS:0で自宅へ退院した.術後のMRI画像では明らかな梗塞病変を認めなかった.術後28日目のDSAで動脈瘤の消失を確認し,術後3カ月時点でも再発を認めていない.後下小脳動脈に限局した解離性動脈瘤は頭蓋内動脈瘤の0.5-2.2%とまれである.再破裂率は高く,deconstructive治療による合併症も珍しくない.近年は血管内治療の進歩により合併症が少ないとの報告もあるが,本症例では母血管径の細い紡錘形であったため,これまでの治療法では困難と考えられた.内頚動脈などでoverlap stentingによる整流効果を利用した治療法が報告されており,今回われわれはLVIS Jr.を用いたoverlap stentingを行った.短中期的には良好な結果を得ることができた.われわれが渉猟し得た範囲では,LVIS Jr.を用いたoverlap stentingによりPICAに限局した解離性脳動脈瘤を治療した症例の報告はない.大きさの小さい紡錘形の,PICAに限局した解離性脳動脈瘤破裂に対し,overlap stentingは治療方法の選択肢の1つになり得る. |
---|---|
ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.51.417 |