放射線治療後の内頚動脈狭窄症に対し術中超音波併用下に内膜剝離術を施行した1例

放射線治療後の頚部頚動脈狭窄の治療はいまだ議論がある.プラークが不安定かつ多量のため血栓内膜剝離術(CEA)により治療した症例を経験したので報告する.症例は70歳,男性.約20年前,下咽頭がんに対し手術・放射線治療(60Gy)を受けた.今回,右大脳散在性脳梗塞を発症,右総頚動脈狭窄を認めアテローム血栓性塞栓症と診断した.右総頚動脈プラークは不安定かつ量が多く,CASでは遠位塞栓をきたす可能性が高いと考えられた.CEAを行う方針としたが中枢側総頚動脈まで不規則にプラークが続くため,術中超音波を用いて最もプラークが薄い部位を確認し遮断部位を決定した.頚動脈の露出,プラークの剝離とも通常のCEAと同...

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Veröffentlicht in:脳卒中の外科 2022, Vol.50(4), pp.286-290
Hauptverfasser: 若狭, 良成, 大久保, 敦也, 佐藤, 和奏, 清水, 宏明
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:放射線治療後の頚部頚動脈狭窄の治療はいまだ議論がある.プラークが不安定かつ多量のため血栓内膜剝離術(CEA)により治療した症例を経験したので報告する.症例は70歳,男性.約20年前,下咽頭がんに対し手術・放射線治療(60Gy)を受けた.今回,右大脳散在性脳梗塞を発症,右総頚動脈狭窄を認めアテローム血栓性塞栓症と診断した.右総頚動脈プラークは不安定かつ量が多く,CASでは遠位塞栓をきたす可能性が高いと考えられた.CEAを行う方針としたが中枢側総頚動脈まで不規則にプラークが続くため,術中超音波を用いて最もプラークが薄い部位を確認し遮断部位を決定した.頚動脈の露出,プラークの剝離とも通常のCEAと同様に可能であり,大部分泥状となったプラークを中膜を温存するように摘出した.術後,MRAでも右総頚動脈の狭窄は解除され,神経学的合併症もなく経過したが,術後11日目に薬剤性横紋筋融解症に伴う急性腎不全をきたし,多臓器不全により83日目に亡くなった.本症例のように不安定で大量のプラークを認める場合,CEAも考慮すべきと思われた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.50.286