前交通動脈瘤クリッピング術におけるrectal gyrusの一部切除は術後認知障害の原因となり得るか

前交通動脈(AcomA)瘤のクリッピング術の際にrectal gyrusを切除することが,術後の認知障害をきたすか否かという問題は未解決である.今回われわれはこの問題について,瘤の展開の際にrectal gyrusを一部(約1cm)subpialに除去したAcomA瘤患者のデータを用いて検討した.全患者は同一術者による同一テクニック(supraorbital keyhole approach)を用いて治療された.連続63例のAcomA瘤患者のクリッピング術において,右(n=50)または左(n=13)のrectal gyrusの切除を行った.認知機能検査として改訂長谷川式簡易知能評価スケール(H...

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Veröffentlicht in:脳卒中の外科 2022, Vol.50(2), pp.101-106
Hauptverfasser: 山川, 功太, 吉田, 浩貴, 赤須, 功, 田中, 将大, 松崎, 粛統, 北川, 亮, 酒井, 淳, 沼澤, 真一, 伊藤, 康信, 渡邉, 貞義, 山本, 拓史, 豊岡, 輝繁, 和田, 孝次郎, 森, 健太郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:前交通動脈(AcomA)瘤のクリッピング術の際にrectal gyrusを切除することが,術後の認知障害をきたすか否かという問題は未解決である.今回われわれはこの問題について,瘤の展開の際にrectal gyrusを一部(約1cm)subpialに除去したAcomA瘤患者のデータを用いて検討した.全患者は同一術者による同一テクニック(supraorbital keyhole approach)を用いて治療された.連続63例のAcomA瘤患者のクリッピング術において,右(n=50)または左(n=13)のrectal gyrusの切除を行った.認知機能検査として改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)とMMSEを術直前と術後3カ月後に評価した.またBeckとHAMを遂行機能に関与するうつ状態を評価するため施行した.術後に脳梗塞や脳挫傷をきたした患者はいなかった.HDS-RとMMSEによる認知機能は術後に変化なく,BeckとHAMによるうつ病検査は有意に改善した.多変量解析では,手術側は術後の精神機能に関与していなかった.脳梗塞や脳挫傷の合併がなければ,rectal gyrusの部分的切除自体は認知機能やうつ状態に影響しないと考えられる.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.50.101