脳動脈瘤直達手術後の原因不明の一側視神経障害について

「はじめに」 脳動脈瘤直達手術後(AN clipping)に生ずる合併症として一側視神経障害はまれである. 文献的にも術後合併症としての視神経障害に関する論文は非常に少ない. 術後に手術側に視神経障害がみられた際に手術操作による視神経障害と考えられるが, 中大脳ANなどの視神経と離れたAN clippingの際にも生ずることがある8). 今回AN clipping後に開頭側の一側視神経障害が生じた自験例の3例について検討した. 「症例」 〈症例1〉58歳女性. 既往歴：高血圧. 現病歴：眩暈で他院を受診し, MR検査を受けた. 未破裂右中大脳(M1M2)動脈瘤(AN)を認め, 当科来院. 入院経過：入院当日のDSA上右M1M2AN(5.0×6.0mm)を認め(Fig.1), neck clippingを行った. 術中に右視神経に触れることはなかった. 術後5日目に右眼の視力低下と下方視野障害を訴えた. 神経眼科的に乳頭浮腫を伴わない視力低下と水平性視野障害を認めた(Fig.2).