t-PA静注療法におけるMRI・DSAの活用

「はじめに」2005年10月11日にアルテプラーゼが認可されたのち, 発症後3時間以内に投与開始可能な急性期脳梗塞患者に対してt-PA静注療法が広く行われるようになった. しかし, NINDS study18)での予後良好例はplacebo群26%に対してt-PA静注群39%と有意差は示したものの, 死亡例が17%あり, J-ACT11)でも同様の結果で, 予後不良例が多数存在するのも事実である. この予後不良例は, (1)症候性頭蓋内出血発症例つまり発症後3時間以内であっても高度虚血のために脳細胞に不可逆的変化が起こり, 再開通によって出血をきたした場合と, (2)t-PA投与によっても閉塞...

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Veröffentlicht in:脳卒中の外科 2008, Vol.36(3), pp.198-203
Hauptverfasser: 鶴野, 卓史, 中西, 愛彦, 川上, 太一郎, 村田, 高穂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」2005年10月11日にアルテプラーゼが認可されたのち, 発症後3時間以内に投与開始可能な急性期脳梗塞患者に対してt-PA静注療法が広く行われるようになった. しかし, NINDS study18)での予後良好例はplacebo群26%に対してt-PA静注群39%と有意差は示したものの, 死亡例が17%あり, J-ACT11)でも同様の結果で, 予後不良例が多数存在するのも事実である. この予後不良例は, (1)症候性頭蓋内出血発症例つまり発症後3時間以内であっても高度虚血のために脳細胞に不可逆的変化が起こり, 再開通によって出血をきたした場合と, (2)t-PA投与によっても閉塞血管の再開通が得られず, 結局大梗塞を起こしてしまった場合が考えられる. (1)に関して脳卒中学会の適正治療指針では投与の基準としてCT scan上early CT signが中大脳動脈領域の1/3以下であることが必要とされており, 高度虚血症例を除外することになっている. しかしearly CT signの読影は必ずしも容易ではなく13), early CT signがなくともすでに高度虚血に陥っている場合もあり, より厳密に投与適応を決定する必要がある.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.36.198