好中球の殺菌ペプチドdefensinとcathelicidinの協同作用

好中球の顆粒内には, 低分子性の殺菌ペプチドが存在し, 感染防御において重要な役割を果たしている1~4). いままでに, 低分子性殺菌ペプチドのファミリーとして, デフェンシン(defensin)と cathelicidinが知られている5~9). これらの殺菌ぺプチドは一般的に塩基性であり, 細菌膜を傷害することによって, 殺菌作用を発揮すると考えられている5~8). デフェンシンは, およそ30個のアミノ酸からなるペプチドであり, 分子内に三つのジスルフィド結合を有し, βシート構造をとる. そして, ヒト, モルモットなどの好中球のアズール顆粒に存在する5~8)(図1). 一方, cat...

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Veröffentlicht in:炎症 2000/03/29, Vol.20(2), pp.131-136
Hauptverfasser: 長岡, 功, 廣田, 聡子, 笹川, 敦子, 大和田, 明彦, 平田, 陸正
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:好中球の顆粒内には, 低分子性の殺菌ペプチドが存在し, 感染防御において重要な役割を果たしている1~4). いままでに, 低分子性殺菌ペプチドのファミリーとして, デフェンシン(defensin)と cathelicidinが知られている5~9). これらの殺菌ぺプチドは一般的に塩基性であり, 細菌膜を傷害することによって, 殺菌作用を発揮すると考えられている5~8). デフェンシンは, およそ30個のアミノ酸からなるペプチドであり, 分子内に三つのジスルフィド結合を有し, βシート構造をとる. そして, ヒト, モルモットなどの好中球のアズール顆粒に存在する5~8)(図1). 一方, cathelicidinの仲間として, ヒトの CAP18やモルモットの CAP11が知られているが10~13), これらは, 好中球の特殊顆粒やゲラチナーゼ顆粒にそれぞれ存在する13~16). そして, cathelicidinの蛋白質は, プロペプチド領域においてブタのcathelinと高い相同性を示し, しかも, 殺菌ペプチドの配列が前駆体の C末端領域に存在するという特徴を有する9). 最近, ヒト CAP18の殺菌ペプチドとしてアミノ酸37個からなる CAP18/LL-37が同定された17)(図1). 一方, CAP11は43個のアミノ酸からなる塩基性ペプチドがジスルフィド結合でつながったホモダイマーであることがわかっている12). そして, これらのペプチドはともにαヘリックス構造をとる9, 12, 18). 顆粒内には高濃度のデフェンシンが存在し, ファゴリソソームにおける殺菌に重要な役割を果たしている5~7). 一方, 貧食などの刺激を受けた好中球からは, cathelicidinとともにデフェンシンが細胞外に放出されることから, これらのペプチドが細胞外での殺菌になんらかの役割を果たすことが予想される19, 20). 筆者らは最近, デフェンシンと cathelicidinの NaCl感受性, 細菌膜の障害性, 相乗作用などについて検討し, これらのペプチドが細胞外で相乗的に殺菌作用を発揮することを見出した. そこで, 本稿では, それらの知見に基づいて, 細胞外でのデフェンシンと cathelicidinの協同作用について論じる.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.20.131