遅発性喘息反応の発症と生体内における好酸球の動態

気管支喘息患者の末梢血1, 2), 喀痰2)および気道組織3, 4)中には顕著に好酸球が増加することはよく知られている. 好酸球は気管支喘息の主要なchemical mediatorsであるとされるhistamineおよびpeptide leukotrienes(p-LTs, slow reacting substance of anaphylaxis)を分解する酵素であるそれぞれhistaminase5)およびarylsulfatase6)をその顆粒中に含有するため, 1960年代には病態の修復に関与する細胞であると考えられていた. しかし, 1980年代にGleichらは好酸球の顆粒に含有...

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Veröffentlicht in:炎症 1998/07/31, Vol.18(4), pp.293-299
Hauptverfasser: 奈辺, 健, 河野, 茂勝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:気管支喘息患者の末梢血1, 2), 喀痰2)および気道組織3, 4)中には顕著に好酸球が増加することはよく知られている. 好酸球は気管支喘息の主要なchemical mediatorsであるとされるhistamineおよびpeptide leukotrienes(p-LTs, slow reacting substance of anaphylaxis)を分解する酵素であるそれぞれhistaminase5)およびarylsulfatase6)をその顆粒中に含有するため, 1960年代には病態の修復に関与する細胞であると考えられていた. しかし, 1980年代にGleichらは好酸球の顆粒に含有される蛋白質(major basic protein, eosinophil cationic protein, eosinophil peroxidase:EPOおよびeosinophil-derived neurotoxin)が気道粘膜上皮に対して傷害誘起作用を有する7~9)ことから気道過敏性を惹起する細胞である可能性を示し, また, 好酸球はp-LTsを産生しうる10)ことからも, 本白血球は気管支喘息の増悪因子として機能していることが示唆されてきた. 本稿では気管支喘息患者の特徴的な症状の一つである遅発性喘息反応(late asthamatic response:LAR)の発症における好酸球の関与の可能性についてのこれまでに得られてきた知見を, 筆者らの教室でモルモット, アレルギー性気管支喘息モデルを用いて得た成績とともに概説する.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.18.293