シクロスポリン投与ラットにおける骨格筋および心筋障害に関する研究

シクロスポリン(CS)は, 真菌の一種であるTolypocladium inflatum Gansの培養液中より得られた11個のアミノ酸からなる環状ポリペプタイドである. 本剤は強力な免疫抑制作用を有するが, その作用機序はヘルパーTリンパ球においてIL-2およびそのほかのサイトカイン遺伝子の転写を抑制し, それらの産生を減少させることであると考えられている1~3). 本剤は, 腎移植および肝移植における拒否反応, 骨髄移植における移植片対宿主病, べーチェット病, 乾癬, 再生不良性貧血, 赤芽球癆などの治療に用いられている4, 5). 本剤の副作用としては, 腎機能障害をはじめ肝機能障害,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:炎症 1998/01/30, Vol.18(1), pp.53-59
1. Verfasser: 行形, 毅
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:シクロスポリン(CS)は, 真菌の一種であるTolypocladium inflatum Gansの培養液中より得られた11個のアミノ酸からなる環状ポリペプタイドである. 本剤は強力な免疫抑制作用を有するが, その作用機序はヘルパーTリンパ球においてIL-2およびそのほかのサイトカイン遺伝子の転写を抑制し, それらの産生を減少させることであると考えられている1~3). 本剤は, 腎移植および肝移植における拒否反応, 骨髄移植における移植片対宿主病, べーチェット病, 乾癬, 再生不良性貧血, 赤芽球癆などの治療に用いられている4, 5). 本剤の副作用としては, 腎機能障害をはじめ肝機能障害, 多毛, 歯肉肥厚などがこれまでに報告されている6~8). 最近, 本剤との関連が示唆される. 骨格筋障害や心筋障害についての症例が報告され9~11), また筆者も本剤が関与すると思われるミオパチーの4例を経験している12). これらの報告より本剤は, 骨格筋および心筋へ影響を及ぼす可能性が考えられ, 本剤が今後広く臨床応用された場合, 骨格筋, 心筋への影響が注目されてくることが推察される. そこでラットを用い, 本剤の骨格筋および心筋への影響について検討した.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.18.53