接着分子の機能制御と抗炎症: 現在の到達点と展望
炎症反応は, 白血球の血管内皮細胞との相互作用およびその結果生ずる白血球の血管外移動によってその引き金が引かれ, 増幅ループがはじまる. 最近の内外の研究の進展により白血球と血管内皮細胞の相互作用に関する分子機構の解明が進み, セレクチン, インテグリン, ICAM分子群などの接着分子が白血球の血管内皮細胞上でのローリング, 接着, そして内皮細胞間隙への陥入(transmigration)のおのおののステップに段階特異的に重要な役割をすることが明らかにされてきた(図1). そして, これらの分子の機能抑制や制御がさまざまな病態の制御に対して有効であることが相次いで報告され, 抗接着療法(an...
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Veröffentlicht in: | 炎症 1997/09/15, Vol.17(5), pp.459-467 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 炎症反応は, 白血球の血管内皮細胞との相互作用およびその結果生ずる白血球の血管外移動によってその引き金が引かれ, 増幅ループがはじまる. 最近の内外の研究の進展により白血球と血管内皮細胞の相互作用に関する分子機構の解明が進み, セレクチン, インテグリン, ICAM分子群などの接着分子が白血球の血管内皮細胞上でのローリング, 接着, そして内皮細胞間隙への陥入(transmigration)のおのおののステップに段階特異的に重要な役割をすることが明らかにされてきた(図1). そして, これらの分子の機能抑制や制御がさまざまな病態の制御に対して有効であることが相次いで報告され, 抗接着療法(anti-adhesiontherapy)という言葉がしばしば用いられるようになっている. ここでは, 筆者ら自身のデータを中心に実験動物モデルにおける抗接着療法の現状をまとめるとともに, その問題点と今後の臨床応用に関する展望について述べる. 接着分子の機能制御による抗炎症はどこまで進んだか? (1)インテグリン/ICAM分子群の制御炎症反応に関与しうる接着分子として, 白血球の表面にはL-セレクチン, β1インテグリン(特にVLA-4), β2インテグリン(LFA-1, Mac-1, gp150, 95)やCD44などの存在することが報告されるとともに, これらの分子が特異的に認識するリガンドが血管内皮細胞上に存在することが明らかにされてきた. |
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ISSN: | 0389-4290 1884-4006 |
DOI: | 10.2492/jsir1981.17.459 |