細胞表面分子と腎疾患-WKYratの馬杉腎炎を中心に

抗基底膜抗体腎炎は腎糸球体基底膜(GBM)に対する自己抗体によって惹起される腎炎である. 糸球体GBMにはIgGが線状に沈着しており, 症状は急速に進行することが多い. 腎炎のほかに肺出血を伴うことが約半数の症例に認められ, この場合, Goodpasture's syndromeと呼ばれる. この腎炎のモデルは, 馬杉腎炎にはじまり, 現在はヒトの腎炎によく似たモデルが開発されている. 分類 大きく二つに分けることができる. ひとつは抗原を動物に投与して, 自己抗体の産生を促す能動型であり, もうひとつは, ほかの動物が産生した抗体を投与する受動型である. 能動型の場合は, 腎炎を...

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Veröffentlicht in:炎症 1997, Vol.17 (1), p.23-32
Hauptverfasser: 川崎克俊, 藤中秀彦, 矢尾板永信, 山本格, 木原達
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:抗基底膜抗体腎炎は腎糸球体基底膜(GBM)に対する自己抗体によって惹起される腎炎である. 糸球体GBMにはIgGが線状に沈着しており, 症状は急速に進行することが多い. 腎炎のほかに肺出血を伴うことが約半数の症例に認められ, この場合, Goodpasture's syndromeと呼ばれる. この腎炎のモデルは, 馬杉腎炎にはじまり, 現在はヒトの腎炎によく似たモデルが開発されている. 分類 大きく二つに分けることができる. ひとつは抗原を動物に投与して, 自己抗体の産生を促す能動型であり, もうひとつは, ほかの動物が産生した抗体を投与する受動型である. 能動型の場合は, 腎炎を惹起する抗体は常に自己抗体である. 受動型の場合は, 異種抗体の場合と同種抗体の場合がある. 異種抗体によって惹起される腎炎は同種抗体と違った機序による可能性があるが, 抗体が容易に得られるという利点がある. 馬杉腎炎の特徴 このモデルは1930年代に日本人の馬杉復三によって発表され1), 以後開発されたモデルの原型となったものである. 腎糸球体GBMに対する異種抗体(nephrotoxin)の投与によって惹起される腎炎である.
ISSN:0389-4290