ラット腹腔マクロファージの一酸化窒素産生能に及ぼすメトトレキセートの影響-アジュバント関節炎ラットを用いた検討

慢性関節リウマチ(RA)は, 関節滑膜の増殖および軟骨, 骨の破壊を引き起こす慢性炎症性疾患である. RAの病態形成には, 炎症性サイトカイン, マトリックスメタロプロテアーゼおよび活性酸素などの関与が考えられている. 最近, RA患者の関節腔液および血清中のnitrite濃度が変形性膝関節症患者もしくは健常人と比較して高値であること1), RA患者の滑膜表層細胞, 軟骨細胞, 浸潤単核球にinducible NO synthase(iNOS)が過剰発現していること2), RAの病態モデルであるラットのアジュバント関節炎(AA)3, 4)とstreptococcal cell wall誘発関節...

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Veröffentlicht in:炎症 1996-07, Vol.16 (4), p.261-268
Hauptverfasser: 小俣武志, 瀬川美秀, 続池直樹, 糸数義彦, 井上尚典, 玉木元
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性関節リウマチ(RA)は, 関節滑膜の増殖および軟骨, 骨の破壊を引き起こす慢性炎症性疾患である. RAの病態形成には, 炎症性サイトカイン, マトリックスメタロプロテアーゼおよび活性酸素などの関与が考えられている. 最近, RA患者の関節腔液および血清中のnitrite濃度が変形性膝関節症患者もしくは健常人と比較して高値であること1), RA患者の滑膜表層細胞, 軟骨細胞, 浸潤単核球にinducible NO synthase(iNOS)が過剰発現していること2), RAの病態モデルであるラットのアジュバント関節炎(AA)3, 4)とstreptococcal cell wall誘発関節炎5)および関節炎を自然発症するMRL/lprマウス6)において, NOS阻害薬が関節炎の発症を軽減することなど, NOの産生過剰がRAの病態に関与していることを示唆する報告が多数見受けられる. 一方, メトトレキセート(MTX)は, 葉酸代謝拮抗作用を有し, RAにおいてその有効性が認められており7~9), 米国ではすでにRA疾患治療薬として臨床応用されている. しかし, その作用機序には不明な点が多い. そこで今回, MTXの関節炎抑制作用の機序の一つにNOの産生抑制作用が関与しているか否かを明らかにする目的で, (1)正常ラット腹腔マクロファージのNO産生能に及ぼすMTXの影響をin vitroで, (2)AAを発症したラット腹腔マクロファージのNO産生能に及ぼすMTXの影響をex vivoでそれぞれ検討し, 若干の知見を得たので報告する.
ISSN:0389-4290