サイトカインと炎症

生体の局所に臓器や組織の機能の恒常性を破壊するような刺激(物理的/化学的, 壊死組織, 微生物や他の寄生体, 毒素, 無毒な外来刺激物質など)が加わると, 局所に病変が出現して刺激を解消し, 局所の機能構造を生理的な状態に回復させようとする. 生体の恒常性を保とうとするための, このような応答が炎症とよばれる1). 炎症でみられる病変群または反応は炎症反応(inflammatory response)と総称される. 炎症反応は大きく, (1)血管透過性の変化とリンパ球以外の炎症細胞のみが関与する非免疫学的なものと, (2)リンパ球が主体をなす免疫学的なものに大別される. 両者を明確に区別するこ...

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Veröffentlicht in:炎症 1993/03/31, Vol.13(2), pp.103-112
1. Verfasser: 高津, 聖志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:生体の局所に臓器や組織の機能の恒常性を破壊するような刺激(物理的/化学的, 壊死組織, 微生物や他の寄生体, 毒素, 無毒な外来刺激物質など)が加わると, 局所に病変が出現して刺激を解消し, 局所の機能構造を生理的な状態に回復させようとする. 生体の恒常性を保とうとするための, このような応答が炎症とよばれる1). 炎症でみられる病変群または反応は炎症反応(inflammatory response)と総称される. 炎症反応は大きく, (1)血管透過性の変化とリンパ球以外の炎症細胞のみが関与する非免疫学的なものと, (2)リンパ球が主体をなす免疫学的なものに大別される. 両者を明確に区別することはきわめてむずかしく, 脊椎動物においては多くの炎症反応は免疫学的な要素を含んでいる. また, 炎症反応と免疫応答のエフェクターフェイズは, 基本的に同じである. 免疫応答は炎症反応が特異的な標的で起こりやすくする場を提供し, 結果として炎症反応がより効率的に, 効果的に, かつ迅速に起こりやすくなる. 免疫応答は, 外来抗原による自己細胞破壊的な炎症反応を抑制できる. 一方, 抗原非特異的な刺激により惹起される炎症反応が, 免疫応答を促進することもある.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.13.103