慢性炎症における骨代謝: アジュバント関節炎ラット大腿骨を用いた検討

アジュバント関節炎ラットは, 病態の進行に伴い, 起炎剤投与部位である足蹠部ばかりでなく前肢および後肢のいちじるしい浮腫と関節局所の軟骨および骨の破壊が認められる慢性炎症性の疾患モデルである1). 一般に臨床では, 慢性関節リウマチ(RA)患者の全身所見において手足の浮腫のほか, 炎症関節の局所のみならず全身性に骨が菲薄化する骨粗鬆症の存在が知られている2). 一方, 骨粗鬆症は, 閉経後の女性あるいは老人に認められる骨代謝異常を伴う骨の破壊性疾患であり, 骨を形成する骨芽細胞と, 骨を吸収する破骨細胞とのバランスの乱れが原因の一つとされている3). しかし, RAなどの慢性炎症性疾患でみられ...

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Veröffentlicht in:炎症 1992/09/10, Vol.12(5), pp.453-459
Hauptverfasser: 瀬川, 美秀, 続池, 直樹, 糸数, 義彦, 田頭, 栄治郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:アジュバント関節炎ラットは, 病態の進行に伴い, 起炎剤投与部位である足蹠部ばかりでなく前肢および後肢のいちじるしい浮腫と関節局所の軟骨および骨の破壊が認められる慢性炎症性の疾患モデルである1). 一般に臨床では, 慢性関節リウマチ(RA)患者の全身所見において手足の浮腫のほか, 炎症関節の局所のみならず全身性に骨が菲薄化する骨粗鬆症の存在が知られている2). 一方, 骨粗鬆症は, 閉経後の女性あるいは老人に認められる骨代謝異常を伴う骨の破壊性疾患であり, 骨を形成する骨芽細胞と, 骨を吸収する破骨細胞とのバランスの乱れが原因の一つとされている3). しかし, RAなどの慢性炎症性疾患でみられる骨粗鬆症の原因は明らかではなく, 慢性長期化した関節炎が関節の機能障害をもたらすことや, あるいは慢性炎症性疾患であることから炎症細胞由来の種々の炎症性メディエーターの介在により骨破壊が発症することなど, さまざまた理由が推察されるが, 性ホルモンなどを介して起こる従来のいわゆるType I型骨粗鬆症4)とは発症機序が異なることが考えられる.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.12.453