ラットにおけるciclosporinの急性および慢性腎毒性
新しい免疫抑制剤であるciclosporin(CYA)1, 2)は, 1978年以降, 臓器移植分野に応用され, 各種臓器生着率の上昇により従来の免疫抑制剤にくらべて有用とされてきた3). その使用に当っては, 腎機能障害をはじめとする重篤な副作用の出現に注意しなければならないが4), 報告の多い腎移植時の腎障害については, 本剤の腎毒性によるのか, 拒絶反応による発現なのかの鑑別は困難であり, 従来より論議されてきた. ところが, 最近では本剤の臨床使用が拡大され, 自己免疫疾患5)など臓器移植以外の疾患にも応用され, CYA腎症という単一疾患が注目されるようになってきている. CYA腎症は...
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Veröffentlicht in: | 炎症 1987/09/01, Vol.7(5), pp.463-468 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 新しい免疫抑制剤であるciclosporin(CYA)1, 2)は, 1978年以降, 臓器移植分野に応用され, 各種臓器生着率の上昇により従来の免疫抑制剤にくらべて有用とされてきた3). その使用に当っては, 腎機能障害をはじめとする重篤な副作用の出現に注意しなければならないが4), 報告の多い腎移植時の腎障害については, 本剤の腎毒性によるのか, 拒絶反応による発現なのかの鑑別は困難であり, 従来より論議されてきた. ところが, 最近では本剤の臨床使用が拡大され, 自己免疫疾患5)など臓器移植以外の疾患にも応用され, CYA腎症という単一疾患が注目されるようになってきている. CYA腎症は, Mihatschら6)の腎組織学的検索により尿細管病変をはじめとし, 間質病変, 細動脈病変の出現が明らかにされ, また, これらの病変は可逆性の変化であるとされてきた. しかし最近, 本剤の長期投与が行われるようになり, 腎糸球体などに不可逆性障害の起こりうることを報告する論文もみられるようになった. そこで動物ラットを用いて, CYAの長期投与(6ヵ月)を試み, 尿細管, 間質領域および腎糸球体病変の出現について検討を行った. |
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ISSN: | 0389-4290 1884-4006 |
DOI: | 10.2492/jsir1981.7.463 |