PURA症候群の患者に対する歯科治療経験

PURA症候群はPURA関連神経発達異常症の一つで,PURA遺伝子のヘテロ接合性の病的バリアントを原因とする先天性異常症候群である.今回,われわれはPURA症候群の患者に対し経口前投薬として「ミダゾラム(ミダゾラム®)」を併用した亜酸化窒素吸入鎮静法にてう蝕および歯周治療,口腔衛生管理を行ったので報告する.患者は10歳男児.一般歯科医院から熊本県歯科医師会口腔保健センターにう蝕治療および口腔衛生管理目的で紹介された.治療に対する拒否が強く経口前投薬としてミダゾラムを併用した亜酸化窒素吸入鎮静法による歯科治療を提案した.鎮静の注意点として,医科からの情報提供による低血糖の既往,PURA症候群に伴...

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Veröffentlicht in:日本障害者歯科学会雑誌 2023/10/31, Vol.44(3), pp.275-281
Hauptverfasser: 長, 美智恵, 山室, 宰, 難波, 亜弥, 日永, 智子, 山川, 摩利子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:PURA症候群はPURA関連神経発達異常症の一つで,PURA遺伝子のヘテロ接合性の病的バリアントを原因とする先天性異常症候群である.今回,われわれはPURA症候群の患者に対し経口前投薬として「ミダゾラム(ミダゾラム®)」を併用した亜酸化窒素吸入鎮静法にてう蝕および歯周治療,口腔衛生管理を行ったので報告する.患者は10歳男児.一般歯科医院から熊本県歯科医師会口腔保健センターにう蝕治療および口腔衛生管理目的で紹介された.治療に対する拒否が強く経口前投薬としてミダゾラムを併用した亜酸化窒素吸入鎮静法による歯科治療を提案した.鎮静の注意点として,医科からの情報提供による低血糖の既往,PURA症候群に伴う特徴のうち,股関節形成不全,低体温,吃逆過多が挙げられた.以上を考慮しながら2回に分けて同鎮静法によるう蝕および歯周治療,口腔衛生管理を行った.現在患者は2カ月に1回通院し,歯面清掃とトレーニングを行っている.本症候群の頻度は知的能力障害の原因の0.3~0.5%と推定する報告がある.正式な臨床診断基準は現在のところ公表されていないが,確定診断に要するゲノム解析が広く認知されてきたことにより症例数は増加傾向にある.本症例は中等度のう蝕で罹患歯数も少なかったが,症例によっては重度の多数歯う蝕や歯周炎に罹患する可能性もあり,より早期からの歯科の介入が望ましく,そのためには歯科疾患予防について医科との連携や口腔衛生管理に関する保護者への啓発が必要である.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.44.275