嚥下造影検査における検査時の患者の外観画像が嚥下評価および姿勢評価に与える影響についての検討

目的:嚥下障害の診断において嚥下造影検査(VF)は一般的な方法として確立されている.しかし嚥下障害の臨床で重要な情報である患者の姿勢,表情などの情報はVF画像からは得ることができない.今回われわれは,VF画像の情報を補う,検査時の患者の外観画像情報がVFの診断および姿勢評価に与える影響について調査したので報告する.方法:本調査では32名の医療従事者を評価者とし,さらに評価者を嚥下治療経験群(12名),未経験群(20名)に分けて検討した.VFを行った患者のうち検査中に姿勢調整法を適用した6症例についてVF画像のみ(VFI)およびVF画像と検査時の患者の外観画像を合わせた画像(VF+R)を2群の評...

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Veröffentlicht in:日本障害者歯科学会雑誌 2019/06/30, Vol.40(2), pp.153-161
Hauptverfasser: 伊原, 良明, 上杉, 雄大, 野末, 真司, 野口, 毅, 高橋, 浩二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:嚥下障害の診断において嚥下造影検査(VF)は一般的な方法として確立されている.しかし嚥下障害の臨床で重要な情報である患者の姿勢,表情などの情報はVF画像からは得ることができない.今回われわれは,VF画像の情報を補う,検査時の患者の外観画像情報がVFの診断および姿勢評価に与える影響について調査したので報告する.方法:本調査では32名の医療従事者を評価者とし,さらに評価者を嚥下治療経験群(12名),未経験群(20名)に分けて検討した.VFを行った患者のうち検査中に姿勢調整法を適用した6症例についてVF画像のみ(VFI)およびVF画像と検査時の患者の外観画像を合わせた画像(VF+R)を2群の評価者に提示し,VFIの場合とVF+Rの場合について,嚥下障害の評価および姿勢の評価の一致率を分析した.結果:嚥下治療経験群,未経験群ともに嚥下評価の一致率に関しては有意差を認めなかった.姿勢の一致率に関してはVFIと比べVF+Rでは頸部屈曲伸展,頸部回旋,体幹側屈とも診断の一致率が有意に高い姿勢を認めた.頸部屈曲伸展では経験群と未経験群の両群において頸部の姿勢調整法のみではなく回旋,体幹の側屈を併用した姿勢においてVF+Rの一致率がVFIより有意に高かった.考察:本調査によりVF時の患者の外観画像の記録は嚥下機能の評価に影響を与えることなく,文章,口頭での情報共有と併用することで,より正確な摂食姿勢を共有するための手段として有用であることが示唆された.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.40.153