難治性てんかんのために迷走神経刺激装置が植え込まれた患者の抜歯における周術期全身麻酔管理の1例
難治性てんかんに対し発作を軽減する目的で迷走神経刺激装置(vagus nerve stimulator;VNS)を植え込む補助療法がある.今回,VNSを植え込んだ重度知的障害患者の抜歯における周術期全身麻酔管理を経験したので報告する.患者は26歳男性.4歳時にヘルペス脳炎の後遺症で重度知的障害と難治性てんかんを合併し,23歳時に当院脳神経外科にて脳梁離断術を経てVNSが植え込まれた.現在,多剤の抗てんかん薬を内服するも,いまだ毎日発作を認める.患者は紹介元施設で智歯の抜歯を勧められ当院口腔外科を紹介されたが,意思疎通が困難なため全身麻酔下に智歯4歯の抜去が計画された.周術期の発作に備え,ジアゼ...
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Veröffentlicht in: | 日本障害者歯科学会雑誌 2019, Vol.40(1), pp.20-26 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 難治性てんかんに対し発作を軽減する目的で迷走神経刺激装置(vagus nerve stimulator;VNS)を植え込む補助療法がある.今回,VNSを植え込んだ重度知的障害患者の抜歯における周術期全身麻酔管理を経験したので報告する.患者は26歳男性.4歳時にヘルペス脳炎の後遺症で重度知的障害と難治性てんかんを合併し,23歳時に当院脳神経外科にて脳梁離断術を経てVNSが植え込まれた.現在,多剤の抗てんかん薬を内服するも,いまだ毎日発作を認める.患者は紹介元施設で智歯の抜歯を勧められ当院口腔外科を紹介されたが,意思疎通が困難なため全身麻酔下に智歯4歯の抜去が計画された.周術期の発作に備え,ジアゼパムやマグネット(発作前兆時にVNSにかざすと一時的に強い刺激が加わり,発作の消失あるいは軽減を目的とする)を準備し,重積発作時には脳神経外科をすぐに受診できるよう依頼した.全身麻酔はプロポフォールとレミフェンタニル塩酸塩で行ったが,術中てんかん発作は起こらなかった.術後から微熱が続き,術翌日には強直発作を認めたためジアゼパム坐剤を投与した.術後2日目に体温が38°C台に上昇したため感染症科に対診したが肺炎などは否定され,術後3日目に軽快退院した.本患者は,VNSが植え込まれているにもかかわらず頻回の発作があり,周術期の発作に対する慎重な対応が求められた.また,てんかん患者ではうつ熱を生じることがあり,感染性の発熱との鑑別が難しく,体温管理にも配慮が必要であった. |
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ISSN: | 0913-1663 2188-9708 |
DOI: | 10.14958/jjsdh.40.20 |