Rett症候群の歯科的所見

目的:Rett症候群は主に女児に発症し,多彩な神経症状が年齢依存性に出現する神経発達障害である.乳児期後期から幼児期に,知能および運動機能が急速に退行し,知的能力障害,手の常同運動(手もみ),呼吸異常,てんかんなどの症状が現れる.口腔症状としては,ブラキシズムが主たる特徴として報告されているが,口腔に関する報告は少ない.今回われわれは,本症候群患者12名について調査を行ったので報告する.方法:Rett症候群患者12名(8y7m~37y2m)について問診および口腔内診査を行った.結果:1.歯数に特異的所見はなかった.2.前歯部被蓋関係については,正常被蓋(5/12)が最も多く,過蓋咬合(3/12...

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Veröffentlicht in:日本障害者歯科学会雑誌 2017, Vol.38(1), pp.69-73
Hauptverfasser: 堤, 香奈子, 村上, 旬平, 藤代, 千晶, 中村, 由貴子, 廣瀨, 陽介, 大西, 智之, 岡, 雅子, 秋山, 茂久, 森崎, 市治郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:Rett症候群は主に女児に発症し,多彩な神経症状が年齢依存性に出現する神経発達障害である.乳児期後期から幼児期に,知能および運動機能が急速に退行し,知的能力障害,手の常同運動(手もみ),呼吸異常,てんかんなどの症状が現れる.口腔症状としては,ブラキシズムが主たる特徴として報告されているが,口腔に関する報告は少ない.今回われわれは,本症候群患者12名について調査を行ったので報告する.方法:Rett症候群患者12名(8y7m~37y2m)について問診および口腔内診査を行った.結果:1.歯数に特異的所見はなかった.2.前歯部被蓋関係については,正常被蓋(5/12)が最も多く,過蓋咬合(3/12),切端咬合(2/12),前歯部交叉咬合および開咬(1/12)と続いた.正常被蓋と過蓋咬合の各1名は交叉咬合治療後であった.3.最も多くみられた歯科的所見はブラキシズム(8/12)で,咬耗(6/12)を伴っていた.4.9名は歩行可能であったが,全対象者にコミュニケーション障害がみられた.手の常同運動は10名にみられた.結論:ブラキシズムが多くにみられた.手の常同運動や口腔習癖のために,歯列不正を生じる可能性が示唆された.特有の手の常同運動や合目的的運動の困難さから食事や口腔衛生については保護者や介助者の管理下にあるため,患者らのQOLを高めるためにも,早期からの歯科保健管理や介入が必要である.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.38.69