多発血管炎性肉芽腫症起因の全盲患者に生じた口腔化学熱傷例
口腔の化学熱傷は比較的なまれな外傷であり,その発症契機としては小児や高齢者の誤食によるものが多い.一方,多発血管炎性肉芽腫症(以下:GPA)は原因不明のまれな疾患であり,上気道,腎臓および全身の壊死性・肉芽腫性炎を特徴とする.今回,筆者らはGPA起因の全盲患者に生じた口腔化学熱傷に遭遇し,加療する機会を得たので報告する.患者は78歳女性.口腔内の疼痛を主訴に来院した.誤って煎餅と間違え食品乾燥材を開封し,口に含んだとのことであった.現症としては右下唇に軽度の腫脹を認め,右頰粘膜,舌,口底にびらん形成を認めた.なお,内視鏡検査では上部消化管には異常を認めなかった.受診日より入院下管理とし,感染予...
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Veröffentlicht in: | 日本障害者歯科学会雑誌 2017, Vol.38(1), pp.36-40 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 口腔の化学熱傷は比較的なまれな外傷であり,その発症契機としては小児や高齢者の誤食によるものが多い.一方,多発血管炎性肉芽腫症(以下:GPA)は原因不明のまれな疾患であり,上気道,腎臓および全身の壊死性・肉芽腫性炎を特徴とする.今回,筆者らはGPA起因の全盲患者に生じた口腔化学熱傷に遭遇し,加療する機会を得たので報告する.患者は78歳女性.口腔内の疼痛を主訴に来院した.誤って煎餅と間違え食品乾燥材を開封し,口に含んだとのことであった.現症としては右下唇に軽度の腫脹を認め,右頰粘膜,舌,口底にびらん形成を認めた.なお,内視鏡検査では上部消化管には異常を認めなかった.受診日より入院下管理とし,感染予防のための抗菌剤投与および含嗽を行い,7日後に症状軽快を認め,退院となった.現在,食品乾燥材は製造者団体により安全性の規格化がなされているが,盲目者にとっては食品との区別に苦慮することも多く,またその開封は比較的容易であり,すべての使用者に対する安全への考慮が十分であるとはいいがたい.今後は厚生労働省や消費者庁など,行政によるさらなる注意喚起および法的な規制に期待するところである. |
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ISSN: | 0913-1663 2188-9708 |
DOI: | 10.14958/jjsdh.38.36 |