姉妹にみられたLeigh脳症の2例について

Leigh脳症は,乳幼児期に発症する精神運動発達遅延,血中や髄液中の乳酸・ピルビン酸高値,CTあるいはMRI画像における大脳基底核や脳幹の対称性壊死性病変などの所見を認める,ミトコンドリア病の一型である.発症の原因は,ミトコンドリアDNAのATPaseコード領域に変異を持つもの,あるいは常染色体劣性遺伝によるものなどが考えられている.初発症状としては食事摂取障害,摂食嚥下障害が多いとされ,他にも運動発達の遅延や体腔筋の緊張低下,眼球運動異常,視神経萎縮,視力障害,けいれん,呼吸障害,知的退行などの多彩な症状を発症する.Leigh脳症は,その多くが小児期に死の転帰をとる難治性慢性進行性疾患である...

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Veröffentlicht in:日本障害者歯科学会雑誌 2016, Vol.37(2), pp.163-168
Hauptverfasser: 片川, 吉尚, 橋本, 岳英, 安田, 順一, 玄, 景華
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Leigh脳症は,乳幼児期に発症する精神運動発達遅延,血中や髄液中の乳酸・ピルビン酸高値,CTあるいはMRI画像における大脳基底核や脳幹の対称性壊死性病変などの所見を認める,ミトコンドリア病の一型である.発症の原因は,ミトコンドリアDNAのATPaseコード領域に変異を持つもの,あるいは常染色体劣性遺伝によるものなどが考えられている.初発症状としては食事摂取障害,摂食嚥下障害が多いとされ,他にも運動発達の遅延や体腔筋の緊張低下,眼球運動異常,視神経萎縮,視力障害,けいれん,呼吸障害,知的退行などの多彩な症状を発症する.Leigh脳症は,その多くが小児期に死の転帰をとる難治性慢性進行性疾患である.Leigh脳症に対する歯科領域での報告はほとんどみられない.今回われわれは,Leigh脳症を発症した姉妹の口腔内に認めた特徴と,口腔ケアを中心に診療を行ったので報告する.口腔内所見として,多数の先天欠如歯,形態異常歯,乳歯の晩期残存,永久歯の萌出遅延を認めた.口腔清掃状態は不良で,全顎にわたる歯石沈着や歯肉の発赤・腫脹を認めた.理由として,歯みがき時の誤嚥の危険性から,保護者が不安を感じながら歯みがきを行っていたためであった.そこで,吸引チューブ付き歯ブラシの使用を勧めた結果,歯みがき時の誤嚥の危険性を減少することができ,保護者の歯みがきに対する不安を払拭することができた.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.37.163