大学病院障害者歯科治療部における全身麻酔下歯科治療の推移 ―歯学部附属病院における設立から特定機能病院への統合まで

東北大学病院障害者歯科治療部は1990年に認可されて以降,2010年に医科と統合し特定機能病院となり,現在まで継続して地域の障害者歯科医療の一翼を担っている.本調査では障害者歯科治療部設置以降,2014年末までに当治療部で行った全身麻酔下歯科治療について,診療体制の変化に伴う推移を検討した.調査期間の延べ症例数は614例であった.症例数は経年的に増加し,2014年では年間76例であった.主な障害は広汎性発達障害,精神遅滞,脳性麻痺で,これらが全体の76.2%を占めた.紹介元では1次歯科医療機関,2次歯科医療機関からの紹介が全体のおよそ70%を占めていた.これらの傾向は調査期間を通じて変わらなか...

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Veröffentlicht in:日本障害者歯科学会雑誌 2016, Vol.37(1), pp.66-73
Hauptverfasser: 高橋, 温, 伊藤, あゆみ, 齊藤, 峻, 後藤, 申江, 橋本, 恵, 石田, 直子, 長沼, 由泰, 水田, 健太郎, 城戸, 幹太, 佐々木, 啓一, 猪狩, 和子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:東北大学病院障害者歯科治療部は1990年に認可されて以降,2010年に医科と統合し特定機能病院となり,現在まで継続して地域の障害者歯科医療の一翼を担っている.本調査では障害者歯科治療部設置以降,2014年末までに当治療部で行った全身麻酔下歯科治療について,診療体制の変化に伴う推移を検討した.調査期間の延べ症例数は614例であった.症例数は経年的に増加し,2014年では年間76例であった.主な障害は広汎性発達障害,精神遅滞,脳性麻痺で,これらが全体の76.2%を占めた.紹介元では1次歯科医療機関,2次歯科医療機関からの紹介が全体のおよそ70%を占めていた.これらの傾向は調査期間を通じて変わらなかった.一方で調査期間の後期では計画的な複数回の治療を選択しやすくなったことから,治療時間が短縮し,処置内容はより外来診療に近い内容へと変化した.設立期の歯科治療は抜歯や充塡が中心であったが,次第に鋳造修復や歯周治療を取り入れた治療が増加してきた.統合後は,より柔軟な体制で治療を行えていることが明らかになったが.紹介患者の半数が治療後も当治療部でのフォローとなっており,地域における受け入れ態勢が十分ではないことがうかがえた.特定機能病院の診療体制を考えると,この状況を改善することが宮城県における障害者歯科医療体制の強化のために必要であることが示唆された.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.37.66