従命不良な摂食嚥下障害患者に対し入院下での集中的訓練が奏功した1例

われわれは従命不良な摂食嚥下障害患者に対し,入院下での集中的訓練および退院後の継続的な訓練により,3年間の経鼻胃管による栄養管理から全量経口摂取となった症例を経験したので報告する.患者は52歳男性,5歳時に難治性てんかんを発症し,以降精神遅滞を認めた.常食を自食していたが49歳時に誤嚥性肺炎を発症し,以降経鼻胃管栄養となっていた.医科よりの紹介にて当科来院した.初診時のADLはBarthel Indexにて5点であった.初診時の嚥下造影検査にてゼリー,ヨーグルトでは誤嚥を認めなかったため入居施設での直接訓練を開始した.訓練開始直後に誤嚥性肺炎を発症したため当科入院下での集中的な嚥下訓練を立案し...

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Veröffentlicht in:日本障害者歯科学会雑誌 2015, Vol.36(4), pp.630-636
Hauptverfasser: 伊原, 良明, 那小屋, 公太, 上杉, 雄大, 野末, 真司, 横山, 薫, 高橋, 浩二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:われわれは従命不良な摂食嚥下障害患者に対し,入院下での集中的訓練および退院後の継続的な訓練により,3年間の経鼻胃管による栄養管理から全量経口摂取となった症例を経験したので報告する.患者は52歳男性,5歳時に難治性てんかんを発症し,以降精神遅滞を認めた.常食を自食していたが49歳時に誤嚥性肺炎を発症し,以降経鼻胃管栄養となっていた.医科よりの紹介にて当科来院した.初診時のADLはBarthel Indexにて5点であった.初診時の嚥下造影検査にてゼリー,ヨーグルトでは誤嚥を認めなかったため入居施設での直接訓練を開始した.訓練開始直後に誤嚥性肺炎を発症したため当科入院下での集中的な嚥下訓練を立案した.入院中訓練は家族の立会いのもとで実施し,退院後も統一された訓練を行うため患者家族に対し訓練方法や介助方法の指導を行った.また,スプーンの保持が可能であったため自食の訓練も行った.退院時には訓練の様子をDVDとして渡し,入居施設職員に対しても訓練方法の統一を図った.退院後体調の変化を認めず,担当医師,施設職員と相談のもと経口摂取量を増加させ,全量経口摂取開始1カ月後に経鼻胃管の抜去を行った.現在,食形態は米飯,キザミ食であり,家族の見守り下では常食を自食している.全量経口摂取開始以降も1年間明らかな体調の変化は呈していない.本症例より,従命不良な患者に対しても,集中的な嚥下訓練,介護者への指導によって良好な訓練効果が得られることが示唆された.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.36.630