セファロスポリン系抗生物質のヒトにおける経口吸収率の予測

経口投与された薬物は消化管から吸収され, 循環系を介して標的器官に到達することにより薬効を表す. その吸収過程において, 薬物はまず小腸上皮細胞の刷子縁膜を透過して細胞内へ取り込まれ, その後, 側底膜を透過して血管内へ移行する. 脂溶性の高い薬物は単純拡散により生体膜を透過しやすいため, 一般に, 消化管からの吸収が良好である. 一方, 消化管内の生理的pHでイオン化し脂溶性が低いにもかかわらず良好に吸収される薬物もある. そのような薬物の中には, 輸送担体を介して効率良く吸収されるものがあることが近年の膜輸送研究より明らかとなってきている. 小腸上皮細胞刷子縁膜に存在し, 薬物の吸収に大き...

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Veröffentlicht in:薬物動態 2000-04, Vol.15 (2), p.196-200
Hauptverfasser: 甲田理桂子, 李銀華, 設楽悦久, 伊藤清美, 津田泰之, 山田秀雄, 伊藤智夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:経口投与された薬物は消化管から吸収され, 循環系を介して標的器官に到達することにより薬効を表す. その吸収過程において, 薬物はまず小腸上皮細胞の刷子縁膜を透過して細胞内へ取り込まれ, その後, 側底膜を透過して血管内へ移行する. 脂溶性の高い薬物は単純拡散により生体膜を透過しやすいため, 一般に, 消化管からの吸収が良好である. 一方, 消化管内の生理的pHでイオン化し脂溶性が低いにもかかわらず良好に吸収される薬物もある. そのような薬物の中には, 輸送担体を介して効率良く吸収されるものがあることが近年の膜輸送研究より明らかとなってきている. 小腸上皮細胞刷子縁膜に存在し, 薬物の吸収に大きく関与している輸送担体としてオリゴペプチド輸送担体(PepT1)が挙げられる. この輸送担体は本来, ジペプチドおよびトリペプチドを小腸管腔側から上皮細胞内へ輸送する役割を果たしているが, 構造が類似する薬物を誤って認識し吸収するものと考えられる.1994年,Feiらによりウサギ小腸からPepT1がクローニングされ,その後,SaitohらによりラットPepT1,Liang らによりヒトPepT1がクローニングされた.ヒトPepT1は708個のアミノ酸から構成され,12回膜貫通型の糖蛋白質であることが確認されており,アミノ酸配列ではウサギおよびラットPepT1との間にそれぞれ81%,83%の相同性があることが報告されている.
ISSN:0916-1139