塩酸ドネペジルの代謝に関与するP450分子種の同定とその薬物相互作用

塩酸ドネペジルのヒトにおける代謝的特徴を予測することを目的として, 代謝に関与するヒトP450分子種を明らかにするとともに, 典型的なP450阻害剤との薬物相互作用について検討した. なお, P450分子種の特定にはヒトCYPlA1, CYPlA2, CYP2A6, CYP2B6, CYP2C9, CYP2D6, CYP2E1およびCYP3A4のcDNAをAHH-1TK+/-cell line導入し, それぞれの分子種が特異的に発現している細胞から調製したミクロソームを用いた. その結果, M4は主としてCYP3A4によって生成し, CYP2C9もわずかに関与していること, M1とM2の生成に...

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Veröffentlicht in:薬物動態 2000-04, Vol.15 (2), p.101-111
Hauptverfasser: 松井賢司, 谷口幸恵, 吉村勉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:塩酸ドネペジルのヒトにおける代謝的特徴を予測することを目的として, 代謝に関与するヒトP450分子種を明らかにするとともに, 典型的なP450阻害剤との薬物相互作用について検討した. なお, P450分子種の特定にはヒトCYPlA1, CYPlA2, CYP2A6, CYP2B6, CYP2C9, CYP2D6, CYP2E1およびCYP3A4のcDNAをAHH-1TK+/-cell line導入し, それぞれの分子種が特異的に発現している細胞から調製したミクロソームを用いた. その結果, M4は主としてCYP3A4によって生成し, CYP2C9もわずかに関与していること, M1とM2の生成には主としてCYP2D6が関与していること, 発現系ミクロソームにおけるVmax/Kmを肝臓中における各P450分子種の存在比で補正したCLintは, ヒト肝臓ミクロソームを用いた結果と一致し, 発現系ミクロソームで得られた結果の妥当性が立証された.また,ヒト肝ミクロソームを用いて塩酸ドネペジルの主代謝物であるM1,M2およびM4の生成に対するシメチジン,テオフィリン,エリスロマイシン,キニジンおよびケトコナゾールの影響について検討した結果,(1)シメチジン,テオフィリンおよびエリスロマイシンは塩酸ドネペジルと併用しても,その代謝に影響を及ぼさないこと,(2)キニジンはM1およびM2の生成を阻害する可能性があること,(3)ケトコナゾールはM1,M2およびM4の生成を阻害する可能性があることが明らかとなった.臨床用量におけるキニジンおよびケトコナゾールの血漿中遊離型薬物濃度を考慮すると,キニジンは塩酸ドネペジルの肝固有クリアランスを82.0%に,ケトコナゾールは57.9%に低下させるが,塩酸ドネペジルの血漿中濃度の上昇はそれぞれ,最大で1.2倍および1.7倍の上昇にとどまることが示唆された.
ISSN:0916-1139