有機アニオン系薬物の血液胎盤関門の透過機構

【目的】胎盤は胎児一母体系における母体血と胎児血との接点であり, 胎盤絨毛膜に存在するトロホブラスト層により血液胎盤関門が形成されている. 妊娠中に母体に侵入した異物は母体血循環から胎盤膜を経由し胎児血循環へと移行し, 時に催奇形作用, 胎児死亡など重篤な胎児毒性を惹起する場合があり極めて重要な過程である. 胎盤における物質輸送は消化管, 腎臓, 肝臓などの形質膜と同様に単純拡散, 促進拡散, 能動輸送などが存在している. この血液胎盤関門における物質透過性研究として, 現在までにアミノ酸や糖などの栄養物質を用いた報告は数多くなされているが, 生体異物である薬物を用いた報告は少なく, その透過...

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Veröffentlicht in:薬物動態 1999, Vol.14 (suppl), p.S104-S105
Hauptverfasser: 牛込文彦, 中村浩明, 江本晶子, 犬山正子, 高長ひとみ, 松尾浩民, 小松一, 柳井繁章, 月森清巳, 中野仁雄, 澤田康文
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】胎盤は胎児一母体系における母体血と胎児血との接点であり, 胎盤絨毛膜に存在するトロホブラスト層により血液胎盤関門が形成されている. 妊娠中に母体に侵入した異物は母体血循環から胎盤膜を経由し胎児血循環へと移行し, 時に催奇形作用, 胎児死亡など重篤な胎児毒性を惹起する場合があり極めて重要な過程である. 胎盤における物質輸送は消化管, 腎臓, 肝臓などの形質膜と同様に単純拡散, 促進拡散, 能動輸送などが存在している. この血液胎盤関門における物質透過性研究として, 現在までにアミノ酸や糖などの栄養物質を用いた報告は数多くなされているが, 生体異物である薬物を用いた報告は少なく, その透過機構は殆ど明らかにされていない. 薬物によっては胎児血中濃度が必ずしも母体血中濃度と対応せず, 母体血中濃度よりも低い場合, 高い場合がありこの関門において制御されていると考えられる. 本研究では有機アニオン系薬物, 特に抗てんかん薬として妊婦においても繁用される一方で, その高い胎児移行性や催奇形性等の胎児毒性が問題となるバルプロ酸の血液胎盤関門における輸送機構についてヒト由来胎盤絨毛癌培養細胞系及び胎盤より調製した膜小胞系を用い検討した.
ISSN:0916-1139