CYP4ファミリーを中心としたチトクロームP450分子種の機能解明
チトクロームP450(P450)はスーパーファミリーを形成し, 多くの分子種が存在しているが, ヒトを含めた哺乳動物のそれは大きく二つのタイプに分類できる. すなわち, 主として肝臓の小胞体に存在し, 薬物によって誘導されたり薬物の代謝に関っているP450でCYP1からCYP3に属するもの. もう一方は, 肝臓以外にも副腎や性腺などに存在し, 主としてステロイドなどの内在性物質の生合成を担っているCYP5, CYP7, CYP21などである. CYP4ファミリーに属するP450はちょうどその中間に位置する分子種で, バルプロ酸などの薬物やプロスタグランジンなどの内在性の基質を代謝することやクロ...
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Veröffentlicht in: | 薬物動態 1999-04, Vol.14 (2), p.139-147 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | チトクロームP450(P450)はスーパーファミリーを形成し, 多くの分子種が存在しているが, ヒトを含めた哺乳動物のそれは大きく二つのタイプに分類できる. すなわち, 主として肝臓の小胞体に存在し, 薬物によって誘導されたり薬物の代謝に関っているP450でCYP1からCYP3に属するもの. もう一方は, 肝臓以外にも副腎や性腺などに存在し, 主としてステロイドなどの内在性物質の生合成を担っているCYP5, CYP7, CYP21などである. CYP4ファミリーに属するP450はちょうどその中間に位置する分子種で, バルプロ酸などの薬物やプロスタグランジンなどの内在性の基質を代謝することやクロフィブレートなどのペルオキシゾーム誘導剤で誘導されることが知られている. そしてウサギ, マウス, ラット, ヒトにおいて, CYP4A, CYP4B, CYP4Fの各サブファミリーP450が見出されている. CYP4分子種はその発現量があまり高くないことや報告されている基質が少ないことから, 十分研究が進んでいない. しかし, これらの分子種のように薬物と生体内の物質の両方を代謝する分子種の場合, 薬物投与による代謝活性の阻害が生体内物質代謝の遅延をもたらしたり, あるいは薬物による誘導が代謝亢進を誘導したり, 薬物による思わぬ副作用を示す可能性が考えられる. 従ってCYP4分子種の機能解明は今後重要になってくると思われる. 本稿では著者がこれまで取り組んできたCYP4分子種の機能解明, すなわち酵素精製と酵素活性の検討, cDNAのクローニング, 病態時における分子種の誘導と発現調節機構について述べる. |
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ISSN: | 0916-1139 |